日本人が「一汁三菜」に強いこだわりを持つ事情 令和になっても家事に残る「昭和型の価値観」
「作らないことには罪悪感はない」
阿古:食事づくりを楽にしようという発想から生まれてくるビジネスって何パターンもあると思うのですが、その中で、レシピと食材がセットになったミールキットではなく、すでにできあがった総菜の宅配という形に落ち着いたのはなぜですか。
前島:食事づくりは女性がやらないといけない、という価値観自体が構造主義的にというか、作られたものだという認識はありました。なので、なるべくそうした価値観をなくしたいと。そうした中で、顧客ターゲットとなる、共働きで子育て中の30~40代50人くらいにインタビューをした結果、今世の中にあるサービスは、構造に規定されすぎているんじゃないかなという思いが生まれたんです。
例えばミールキットは当初、すべての工程をメーカー側がやってあげると作り手に罪悪感が残っちゃうから、後工程を残しました、といった打ち出し方でした。しかし、それでは食事作りはやらなきゃいけないという構造は残ってしまう。
一方、顧客ターゲットの方々に聞くと、作らないことに罪悪感はないと。そうではなく、子どもに安全なものを出したいとか、栄養価は高いほうがいいとか、見た目が悪いものを出したくない、という回答が得られたのです。