「アメリカ株は今後も回復が続く」と言い切れるか 「利上げ打ち止めと経済再加速」シナリオの死角

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また一連の銀行破綻はFRB(連邦準備制度理事会)による銀行監督政策ミスだとしても、引き締め効果が強まるのだから、現在の同国経済のもう1つの大きな問題である高インフレ制御をもたらすプラスの側面もある。

このように銀行破綻への認識が冷静になったことも、アメリカ株市場を支えている一因だろう。ただ信用収縮による大きなショックには至らないとしても、アメリカ経済では景気後退に近い成長減速は当面続くとみられる。

一方、コロナ禍の後の回復局面で、同国では依然労働市場を中心に供給が抑制される状況が続き、人手不足に直面する業種も残っている。そのため雇用削減への圧力はかかりづらい。

実際に、2022年後半から求人は減っているが、失業率は横ばいで推移している。コロナ後の劇的な回復は異例だったが、コロナ禍後の減速局面についても過去の通例とは異なり、経済停滞は短期間で収まるとみられる。

もし経済停滞が浅く済むならば、FRBによる高インフレへの対処は今後も継続することになる。債券市場では、銀行問題が大きな経済収縮をもたらすとの思惑から、早々に利下げが行われるとの期待が5月前半まで根強かった。だが「FRBは市場の期待どおりに利下げを実施するのか」(5月14日配信)でも指摘したとおり、FRBの早期利下げ期待は行きすぎであり、その期待は5月中旬に一部が巻き戻された。

6月FOMCは「政策金利据え置き」の可能性

今後、FRBが次回6月会合(13~14日)で利上げを続けるかどうかについては、FOMC(連邦公開市場委員会)の参加者の間でも意見の相違がみられる。

だが、直近のジェローム・パウエル議長の発言を踏まえると、5月のFOMC(2~3日開催)後から、議長の見解はほとんと変わっていない。

おそらく同議長らは「今後の政策は経済指標次第で変わりうるが、銀行問題による引き締めの影響を加味すると、現在の5%超という政策金利は十分に引き締め的な水準に達している」と判断していると見られる。

筆者は、議長らが引き締め効果を見定める段階に入ったと判断し、6月会合については政策金利を据え置くと予想している。

こうした中で、同国市場では5月17~18日に、金利上昇と株高が併存する値動きがみられた。ただし、S&P500種指数を加重平均しない単純平均ベースの指数でみると、年初来ではほぼ横ばいのままである。

つまり、S&P500の年初のリターン(19日時点で約9%上昇)は「GAFAM」などの大型ハイテク株の上昇によって多くが説明できる。それでも長期金利が上昇する中で、大型ハイテクが牽引した株高が同時に起きたのである。

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