アメリカ株は3月の銀行破綻をきっかけに大幅下落する場面があったものの、4月以降は狭いレンジでの推移が続いた。
懸案の債務上限問題に関しても、ジョー・バイデン大統領が「(野党・共和党との)政治合意が成立すると確信している」との発言が好感され、5月18日には主要指数であるS&P500は年初からのレンジの上限をわずかに超え、年初来高値を更新した。
アメリカの銀行破綻で信用収縮は見られず
同国の銀行問題については、5月初旬に「1預金者あたり原則25万ドル」という預金保護制度を超えた額を預けている、個人や企業の預金が多い銀行がさらに破綻、地銀行株も大きく下落したままである。
だが、今のところ金融システム全体には波及しておらず、信用収縮による大きな経済ショックも回避されている。4月以降、小規模な銀行を見ると、銀行預金はほぼ横ばいで推移しており、銀行貸し出しについても、若干ながらも増加している。
企業側のサーベイ(調査)をみても、「企業の資金繰り状況が悪化している」という兆候は殆ど見られない。中小企業に対して「借入が容易にできているか」という問いについての回答割合は3月こそやや減少したものの、4月以降は銀行破綻前の水準に戻っている。
確かに、アメリカで次々と起きている銀行破綻の規模は相応に大きく、歴史的な事象として残るとみられる。だが、こうした個々の銀行破綻は、大きなショックを伴う「経済急変」とは性質が異なる。
これらの事象は、2022年からの急ピッチな金融引き締めによる波及効果として位置づけられそうだ。
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