「帰りたくない」4歳の里子を預かる2人が涙した訳 食べるの大好き「LGBTカップル」が里親をする理由

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そらたろさんはお菓子作りも好きで、里子と一緒に作ったこともある。彼女はそんな養育里親活動などをブログにつづっていて、ブログタイトルは「意外とそばにいるんだよ。」。ゲイもレズビアンも意外と近くにいるよ、という意味を込めているそう(写真提供:そらたろさん)

取材では、もっと細かく里子たちへの対応について聞きましたが、彼女たちのケアはとても細やかで、かつ論理的。「傷を負って生きてきた子に、これ以上傷を負わせたくない」という一心で取り組み、里子が寝たあとに2人で対応について話し合ったり、努力を続けてきたことが感じられました。

「健全な家庭」を目指して養育里親をしている

ところで、2人は養育家庭になる過程で、児童相談所から「もし、委託された子どもから、よその家との違い(同性カップルだということ)について聞かれたらどう答えますか」という質問をされたそうです。

そのとき、そらたろさんはこう回答しました。

「よそのお家のように、パパとママがいるわけではないけれど、あなたに来てもらいたくて、うちに来てもらったということ。あなたのことが大好きだということを誠実に伝えたい。そして、これが我が家のカタチ、という事も伝えていきたい」

ちなみに彼女たちは、「普通の家庭」なんてない、という持論も持っています。

「仕事柄、多くの人と関わってきたことで知ったのは、一見『普通』だけど、夫婦仲が冷え切っていて、子どもが右往左往している家庭。裕福で幸せそうに見えるけど、実は虐待が日常的に行われている家庭。もちろん、家族仲良く、日々楽しく、平和に暮らす家庭もあります。どれをとってもそのご家庭にとっては日常であり『普通』なのかもしれない。そして、そういう意味では、私たちの日常も私たちにとっては『普通』。でも、どれも、他者から見たとき、『普通』ではないように見える事もある」

それは本当にそのとおりで、家庭というのは、家庭のカタチがこうだから、お金があるから、というわかりやすい条件だけで幸せになれるものではないのです。

彼女たちは世間的な「普通の家庭」ではないかもしれないけれど、「子どもたちが伸び伸びと、穏やかに過ごせ、無理なく笑え、食べたり飲んだりが当然にでき、大人に対して不信感を持つことなく、安心して暮らせる環境がどんな子にも保証される」、そんな「健全な家庭」を目指して養育里親をやっているそうです。

里親としても、医療と教育に真剣に取り組んできたプロとしても、その矜恃と覚悟に私は強いリスペクトを感じたのでした。

次回は、もう一組の養育里親であるゲイカップルの里親生活を紹介します。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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