「ジェジュン、おなかいっぱいだったら、もう食べなくていいのよ」
心配するナ先生の言葉に、ジェジュンは「まだ食べたいです」と、チョコレートパイをもう1つ手に取った。
「もう5個目だよ!」
みんなは驚きながらジェジュンが食べる様子を見守っていた。今度は水を飲みながら、むりやり押し込んでいるようだった。
「ウエッ、先生、もう満足度ゼロです。もういりません。これ以上食べたら吐きそうです」
5個めを最後に、ジェジュンは食べるのをやめた。ナ先生は、ジェジュンがチョコレートパイを食べていたときの満足度を表にまとめた。
(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
たくさん食べると満足度は下がる
「みんな、この表を見て何がわかる? 表から規則性を探してみましょうか」
「だんだん満足度が減っていきました」
「最初のチョコレートパイを食べたときは満足度が9だったのに、5つめのときは0になっていますね。チョコレートパイ1個を食べて感じる満足度は、だんだん減っていきます。仮に、一日中何も食べていない人が夜になってようやく食べたとしたら、1個目は味わう余裕なんてないかもしれません。そういう場合は2個目、3個目のほうがおいしく感じられるかもしれませんね。
だけど、だんだんとおなかが満たされると、追加される1個に対する満足度は減っていくでしょう。これを経済学者は『限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則』と呼んでいます。限界(marginal)は追加される1単位という意味で、効用(utility)は、消費による満足度を意味します。追加される1単位によって増える満足度は、結局、しだいに減少していくという意味です」
「だからバイキング形式のレストランはつぶれないってことか! お客さんはどこかで限界効用を感じて食べるのをやめるから、食べる量を制限しなくてもいいんだ」
ギョンホが大きな声で言った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら