企業同士の結託による悪だくみが撲滅されない訳 価格や生産量を調整するカルテルが起こるカラクリ

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企業の談合がなくならないのは理由がある(写真:Graphs/PIXTA)
「実験経済部」それは韓国ソウルの中学に実在する部活動です。

中学生でもわかる、ゲームを使った活動によって世界中の名門大学へ卒業生を送り出し、法曹界や医学界など様々な分野に優秀な人材を輩出しています。2019年には13年以上に渡る活動が韓国政府からも評価され経済教育大賞を受賞しました。

顧問を務めるナ先生ことキム・ヨナン氏の著書『チョコレートパイは、なぜ1個目がいちばんおいしいのか? ──韓国最強「実験経済部」の生徒が学ぶ中学生でもわかる経済の話』より、実験経済部の活動内容を再現、全5回の2回目をお届けします。

制服屋さんごっこで「カルテル」の概念を知る

「マイクロソフトのWindowsを使っている人、手を挙げてください」

教室に入ってくるなり、ナ先生が突拍子もない質問をすると、7人全員がいぶかしげな表情で手を挙げた。

「ほとんどの人が使ってるんじゃないですか? Macの人もいるだろうけど」ジェジュンが言った。

「市場をほぼ独占しているマイクロソフトは、Windowsのプログラムを100ドルちょっとの価格に設定しています。でも、こんなふうに市場を独占しているなら、価格を上げて1000ドル、1万ドルにしてもいいと思わない?」とナ先生。

「そうかなあ。値段が高すぎたら買う人が減ると思います」ギョンホが答えた。

「私たちが制服を独占して生産する企業だと考えてみましょうか。制服を作るのに1着当たり5000円の費用がかかると仮定します。市場で9000円まで支払う意思がある需要者は12人、7000円までが18人、6000円までが6人だとすると、価格をいくらに設定するとき利潤が最も大きくなるでしょうか?」

ナ先生は黒板に表を書きながら言った。

「制服の価格を1万円より高く設定したら、1着も売れませんね。9000円だと利潤はいくらになると思いますか?」

「12着売れるだろうから、売上額は9000円×12人=10万8000円、ここから総生産費の5000円×12人=6万円を売上額から差し引くと……利潤は4万8000円です!」

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