企業同士の結託による悪だくみが撲滅されない訳 価格や生産量を調整するカルテルが起こるカラクリ

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ジェジュンの話に、シヒョンとギュヒョンも同感した。

「さっきの2度目の制服市場の実験は、1回だけで終わりましたね。でも、現実では1回では終わらずに、ずっと続きます。談合には3社が参加しましたが、1社が約束を守らなければ、その企業に対する報復もありえます。価格競争になって互いに価格を下げれば、結局は自分たちが損するとわかっているので、きちんと約束を守る場合もあります。実際に制服メーカーの談合が問題になったこともあるんですよ! 寡占企業が談合を行うと消費者が被害をこうむるので、国が法律で禁じているんです」

談合が不法だというナ先生の話に、ギュヒョンが言った。

「そうよ、そうでなくちゃ。じゃないと約束も守られないし!」

「そうよね。制服代ってほんと、バカにならないんだから」とジェヨンが付け加えた。

ばれないような巧みな手口を編みだしている

「談合行為は不法だと定められていますが、摘発するのは簡単ではないんです。談合する企業は、政府の取り締まりにひっかからないように、ばれないような巧みな手口を編みだしているの!」とナ先生が言った。

「さすがだな! 儲けるには頭を使わなくちゃ!」

「そんなこと言っていいわけ? 法律は守らないとだめよ」

ギョンホの発言に、ギュヒョンがピシャリと言った。

「それで、談合が発覚したことはないんですか? 政府もどうにかして見つけ出そうとすると思うんですけど」

「ありますよ。公正取引委員会で毎年、数十件の談合を摘発して、課徴金を支払わせています」

ギュヒョンの質問に、ナ先生がそう答えた。

「私、子どものころ、インスタントラーメンのメーカーが談合したって話を聞いたことがあります!」とソナ。

「そうね。そういうことがありましたね」とナ先生。

「でも、巧みな手口ってどういうものですか?」

ソナが聞いた。

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「うーん、先生も詳しくは知らないけれど、談合する企業同士で実際に会議をしたり、電話で価格を吊り上げようと話したり、そういうことはしないそうよ。代わりに、市場シェア率が高い企業がまずは価格を上げるの。そうするとほかの企業もそれに従って価格を上げるといったふうに談合するというわね」とナ先生。

「課徴金はどれくらいだったんですか?」

ギョンホが質問する。

「ラーメンのメーカーが談合したときは、総額100億円以上だったみたいよ」とナ先生。

「すごい! とんでもない額ですね!」とギョンホ。

「だけど、談合を禁止すれば、企業同士の価格競争が激しくなるんじゃないですか? 僕たちがそうだったみたいに」

チャンミンの言葉にナ先生が締めくくった。

「チャンミンが言うように、そうなることもありますね。でも、企業も価格競争をしてもお互いいいことはないとわかっているから、そうなるケースは多くないみたいです。それでは、今日はここまでにしましょう!」

キム・ナヨン 韓国・ソウルのヤンジャン中学校社会科教師

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Kim Nayoung

梨花女子大学で社会科教育を専攻し、同大学院で経済教育修士、行動社会経済学博士課程を修了。韓国開発研究院(KDI)、企画財政部、金融監督院、教育部、韓国教育開発院(KEDI)などいくつもの機関で経済・金融教育資料の開発および教材の執筆に参加し、2015改訂教育課程の社会科評価基準の開発研究を進めるなど、教育課程関連の研究にも参加している。2009年、中学の時に必ず知っておきたい経済理論をやさしく面白く体得できるよう、経済勉強サークル「実験経済部」を作った。

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