厚労省が注意喚起「マールブルグ病」を医師が解説 「赤道ギニアなど相次ぐ感染報告」WHOが伝える

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タンザニアの街の風景(写真:筆者撮影)

今年に入り、アフリカの国々で「マールブルグ病」の感染者が相次いで確認されている。厚生労働省が注意喚起をしたこともあり、日本でもこの新たな感染症への関心が高まっている。

マールブルグ病とはいったいどういった病気なのだろうか。日本はこの新たな感染症にどう対処していけばいいのだろうか。そして、日本でも感染が広がる可能性があるのか――。渡航医学の専門家である関西福祉大学の勝田吉彰教授に聞いた。

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コウモリから感染マールブルグ病とは?

日本ではまだ耳慣れない「マールブルグ病」。今年の2月には赤道ギニア共和国(以下「赤道ギニア」)で、3月にはタンザニア連合共和国(以下「タンザニア」)でも感染者が確認され、それぞれで11人と6人の死亡者がでている(2023年5月現在)。

WHO(世界保健機関)は今回初めて、両国にマールブルグ病のアウトブレイク(感染症の突発性発生)が報告されたと伝えている。

タンザニアのマールブルグ発生を説明するWHOのウェブサイト(スクリーンショット)

WHOによれば、マールブルグ病は、人や動物に感染するウイルスの1つであるマールブルグウイルスによる感染症で、エボラ出血熱と同じフィロウイルス科に属する。アフリカに生息するオオコウモリが宿主と考えられており、オオコウモリからヒトへと伝播し、ヒトの間でも感染する。

マールブルグ病の致死率は24%から88%(これまでの感染事例から)といわれる。

人間に感染すると、2~21日の潜伏期間の後、頭痛や高熱、倦怠感などの症状から始まり、進行すると出血が始まり、激しい嘔吐や下痢で脱水症状となる。この病気は、ウイルス性出血熱と呼ばれる非常に重症度の高い感染症でもあり、日本の感染法上の分類では、エボラ出血熱やペストと同様、危険度が最も高い一類感染症に分類されている。

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