「美しくなりたい」努力の"残酷"な費用対効果 労働経済学の権威が教える美の経済学

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現代人は美しくありたいと心から願っている。東洋経済オンラインの読者の皆さんもそうかもしれない。美形は生涯収入が多いというデータもある(その話は、次の連載で紹介する)。見た目をよくするために、服装や髪型に気を遣い、化粧に時間をかける人も多いだろう。

ある人の容姿が同年代のほかの人たちに比べてどうかは、生涯にわたってそんなに変わらないことが証拠ではっきりしている。でも、それならどうしてみんな、それぞれの住む社会が共有する美形の基準に合わせて、自分の容姿を変えないんだろうか? 美形はお得なら、美形になればいいんじゃないのか?

もっときれいになれるという話は、どこまでも人を惹きつけてやまない。でも架空の物語の中でさえ、たとえばジョン・トラボルタの出ていた映画『フェイス・オフ』でも、人の顔を大幅に変えるのはものすごく難しいことになっている。

手術しても、5段階評価で3の人は5になれない

顔の傷やシワを取り除く手術は、日常的に行われている。男優、女優、政治家なんかが、ハリウッドの符丁で言えば、「いろいろいじってもらって」いる。2007年、米国全体でボトックス注射は460万本以上、鼻の整形は28万5000件、まぶたの整形は24万1000件行われている。どれも形成外科医にとっては割のいい仕事で、美容整形手術は120億ドル規模の大きなビジネスだ。

ほかの裕福な国の人たちは、この手の手術が米国人ほど好きではない。でも彼らもやはり、美容整形にはけっこうなおカネを使っている。2006年、イギリスの人たちは美容整形手術に8億ドルをつぎ込んだ。

1人当たりで米国人の3分の1だが、ほかのEU諸国を大きく上回る額だし、2001年に比べて4倍にもなっている。ヨーロッパではイタリアがそれに続く美容整形大国で、フランスがそれに続く3番目、ドイツが僅差で4番目だ。

物語の中なら(5段階評価で5がいちばん美しいとして)「3点」とか「1点」とかの人が美容整形で「5点」になれるかもしれないが、現実の世界ではなかなかそういうわけにはいかない。顔が根本的に非対称だと、他人の目にはなかなか美形には映らない。非対称な顔はとても治せない。

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