「日本の銭湯」世界遺産並みの価値が認められた訳 「テルマエ・ロマエ」に登場した銭湯には助成金
銭湯絡みのニュースといえば大半が廃業を伝えるもの。残念に思っても家庭風呂が普及した現在、銭湯に存在価値があるのかと考える人もいるだろう。だが、ニューヨークに本部があるワールド・モニュメント財団(WMF)は日本の銭湯はパリのノートルダム大聖堂やペルーの空中都市・マチュピチュ周辺の景観などの世界遺産と並び、後世に残すべきものと判断した。
その判断に基づき、アメリカン・エキスプレスの協力を得てWMFは北区の滝野川稲荷湯(以下稲荷湯)に約20万ドルを支援。耐震補強、隣接した長屋の改修などが行われた。彼らは何を銭湯の価値として認めたのだろう。
100年以上営業してきた「ザ・銭湯」
稲荷湯があるのは東京・北区滝野川の、旧中山道から一本入った路地。東京銭湯の特徴である寺社のような外観、通称宮造りの堂々とした建物は1930年築。稲荷湯のこの土地での創業自体は1913(大正2)年頃というから、100年以上この地で銭湯として営業してきたことになる。
クラシカルな外観同様、銭湯内には「ザ・銭湯」と言えるような見事な富士山が描かれており、その雰囲気を活かして2012年には古代ローマの浴場と現代日本の風呂をテーマとした漫画「テルマエ・ロマエ」の映画化で、ローマ人浴室設計技師の主人公が最初にタイムスリップする銭湯として登場している。
その稲荷湯が世界の注目を集めるようになったきっかけは今回、稲荷湯の修復再生を手がけた一般社団法人せんとうとまちの代表理事・栗生はるかさんらが2018年に行った北区内銭湯の全軒取材だ。
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