怒りを鎮める「感情ラベリング」のものすごい効果 自分の情動を認識し手なずけるテクニック

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

シェイクスピアは『マクベス』の中で、「悲しみの言葉を発せよ。口から出てこない悲嘆は苦しい心にささやきかけて、心を砕いてしまう」と記している。

偉大な劇作家はみなそうだが、シェイクスピアにも優れた心理学者の素質があった。悲しみの言葉をつぶやくと気が晴れることを知っていたのだ。

情動が存在する理由

私は子供の頃、何度もトラブルに巻き込まれた。自分がしでかしたことばかりか、私のせいでないことでもだ。

母はよく言った。「みんなに責められるのは評判が悪いからよ。一回評判を落としてしまったら、みんなの気持ちを変えるのは難しいの」。

私は情動の科学を学びながら、そのことについてたびたび考えてきた。何百年にもわたる人間の思考と学問の中で、情動はずっと悪い評判を負わされてきて、それはなかなか変えられなかった。

しかし近年になっておもに神経科学の進歩のおかげで、情動に対する見方が変わってきた。そして今日では、情動が非生産的であるようなケースはあくまでも例外的であることが分かっている。

新しい情動の科学について知れば、情動は非生産的であるという神話の噓が暴かれ、情動が精神的リソースの大部分を作るのに役立っていることが明らかになるはずだ。

情動のおかげで我々は、自分の身体状態と周囲の環境に応じた柔軟な反応を取ることができる。

情動は欲求・嗜好のシステムと連携して一つ一つの行動を掻き立て、他者と関わって協力することを促し、視野を広げて新たな高みに立てるよう背中を押してくれる。理性的な心とともに作用して、我々のほぼあらゆる思考を形作っている。

出掛ける前にジャケットを羽織るかどうかから、引退後に備えてどう投資するかまで、一瞬ごとの大小あらゆる判断や決断に寄与している。情動がなかったら我々は何もできないのだ。

次ページ次ページ 人類が繁栄したのは情動のおかげ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事