"奇跡のフォント"開発者の逆境だらけの8年間 「嫌われてもいい。やりたいことは絶対やる」
自分がやりたいと思うことに自信が持てない理由には、「そこまでの情熱がない」と「力不足でやれないかもしれない」の2通りがあると思っています。
前者については、情熱がないくらいだったらやめたらいいんじゃない? と思います。好奇心や「やりたい」と思う気持ちがなかったら、始めたところで頑張れないですから。
後者の力不足は、力を付ければいいだけです。知識を身に付けるなり、人脈をつくるなりね。
頭の中だけで悩んでいても解決しないけど、やりたい方向に向かって小さくでも動いていれば、何かしら見えてくるものがあると思います。
外の世界の人たちと接して、絶対に必要だと思えた
学校や会社みたいな組織にいると、それがすべてと思ってしまいがちだけど、絶対に違うんですよ。広い視野を持てば、学校や会社なんて小さいコミュニティーの1つにすぎないですから。
私がUDデジタル教科書体が絶対に必要だと思えたのも、会社の外の世界の人たちの声によるところが大きいです。必要としてくれている人たちと接していたから、「私がやるしかないよな」って。
あとは、すぐに解決しようって思わないほうがいいですよ。
私はもう60歳になるけど、一生懸命に学んだことが自分を助けてくれたと実感するのは、10年ぐらいたってからなんじゃないかな。
だって、学んだからといって、いきなり自分の中には落とし込めないじゃない?
表面的な知識にはなっているかもしれないし、その知識がすぐに役立つこともあるけれど、大抵のことはずいぶん時間がたってから、「あのときやっておいてよかった! 10年前の自分にありがとう!」っていう感じですよ。
自分の中に落とし込んだことがほかの何かと結び付いて、それがようやく自分の外にアイデアや成果として出てくるわけです。