"奇跡のフォント"開発者の逆境だらけの8年間 「嫌われてもいい。やりたいことは絶対やる」
「このサービスは間違いなく必要。絶対にやりたい」
そんな強い気持ちがあったとしても、社内に支持者がいなかったり、環境が厳しかったりすると、弱気になってしまうことがある。
もしうまくいかなかったら……と、ダメだったときのことを想像して、自信を失ってしまうこともあるだろう。
“奇跡のフォント”開発、逆境だらけの8年間
「結果を早く求めすぎなんじゃない?」
そうアドバイスを送るのは、書体デザイナーの高田裕美さん。書体とは、明朝体やゴシック体といった、同じコンセプトでデザインされた文字の集合体のこと。今はパソコンや携帯に表示される「フォント」というほうが、なじみがあるかもしれない。
高田さんが手がけた『UDデジタル教科書体』は、ロービジョン(弱視)やディスレクシア(読み書き障害)の子どもたちでも読みやすいフォントとして、2016年6月のリリース以来、教育現場から注目を集めている。
今日、訪問した支援者の方から「UDデジタル教科書体」に変えたら、今まで文字を読めなかった子が「これなら読める!オレはバカじゃなかったんだ……」と言って、皆で泣いてしまったという話を聞いた。
その話を聞いて、書体が手助け出来たことの嬉しさよりも、その子が今まで背負ってきた辛さ、…(続— Yumi Takata (@Yumit_419) April 3, 2019
だが、UDデジタル教科書体が世に出るまでには、実に8年もの時間がかかっている。
その間には、高田さんが勤めていた会社がなくなったり、開発が止まったりと、さまざまな逆境があった。
時には「私はこの会社に必要ではないのかもしれないと思ってしまったこともあった」という高田さん。