統一地方選挙と銘打ちながら、全国一斉に選挙をするわけではないというと、どうも盛り上がりに欠けます。統一地方選挙は従来、ほかの選挙よりは多少投票率が高めで推移してきたのですが、最近では低下傾向です。特に今回は、戦後、初めて東京都で知事選挙も議会選挙も行われないため、在京メディアの関心が極端に低くなっているように見えます。報道されないとあれば、さらに投票率は低くなるでしょう。
1票も入っていなくても当選?
もうひとつ、今回の統一地方選挙の盛り上がりを欠けさせる理由として注目されるのが、「無投票当選」の多さです。無投票当選とは、選挙区で決められている「定数」以上の立候補者が現れず、選挙を行わないままに当選者を確定することを言います。今回の統一地方選挙前半戦は41の都道府県議会選挙ですが、そこでは実に21.9%の議席が無投票当選者で占められることになります。
香川県では41の議席のうち、なんと27議席(65%)が無投票で決まることになります。ほかにも山形(45.5%)や宮崎(43.6%)などで、議席の多くが無投票当選で決まることになりました。
香川県のように、県議会の過半数が無投票当選で決まるというのは、なかなか深刻な事態です。なぜなら、無投票当選議員がまとまれば、選挙の洗礼をまったく受けずに当選した議員だけで、香川県の重要な意思決定ができてしまうことになるからです。
有権者は政治家を評価して選挙で票を入れ、政治家はその評価をプレッシャーに感じながら意思決定を行っていく、それが民主主義の基本的な仕組みであるとすれば、プレッシャーのない無投票当選が続くと民主主義の前提が成り立ちません。崩壊しています。1回だけならまだしも、将来にわたって無投票(=競争相手が現れない)となると、有権者の意思と政治がどんどん離れていくことにもなりかねません。
しかし、なぜ無投票当選がこんなにもたくさん出現するのでしょうか。その理由は、政党と選挙制度にあります。
地方議会で当選するために必要な票数
都道府県議会は、広域自治体の議会なので選挙区がそれなりに大きく、当選のためにはある程度の得票が必要です。小さい選挙区でも、アバウトに言って最低5000票から1万票くらいは必要でしょうか。数万票が必要な国政と比べて、5000票というとたいしたことがなさそうですが、個人がそれだけの票を集めるのはとても大変です。
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