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日本人が考える「メンタルトレーニング」の誤解 科学的な根拠に基づいた「行動変容」させる方法

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メンタルトレーニングの起源は、先行研究によれば1930年代後半にアメリカのメジャーリーグ、シカゴ・カブスで指導を行ったスポーツ心理学者などが紹介されています。日本では、1960年ローマオリンピックのころから始まっています。

メンタルトレーニングは、フィジカルトレーニングと一緒で、科学的根拠のある様々な理論に基づき、個人のトレーニングの目的に合わせて長い年月をかけて行っていくものです。「メンタル(感情・思考)の何を解決すれば、自分の行動変容に繋がるのか」を本人が気づくことは大事です。

一過性のものではありませんから、良い靴を履いたところで、すぐシュート成功率が上がるわけではないように、本を読めば、メンタルが強くなるかというとそうではありません。フィジカルトレーニングと一緒なのです。

科学的根拠に基づいているか

著者自身の成功体験を基にした自己啓発本は、「それはあなたにとっての素晴らしい成功だけど、理論的なエビデンスはどこにあるの?」と思ってしまいます。

スポーツ心理学者の田中ウルヴェ京氏の近著『心の整えかた トップアスリートならこうする』(NHK出版)。本書も科学的根拠に基づいて書かれている。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかし、『Chatter(チャッター)』は、そういった類の本とは全く違います。数値化できない質的研究については、あくまでも一事例ということをはっきり言いつつ、データによる量的研究ではこうだという両面を論じて、その限界もきちんと述べています。私が執筆する際もこの点はしっかり意識しています。

さらに、根拠として相当数の研究論文を参照し、分厚く書いているという点から、見えにくい領域における客観性を重視していることもわかります。

科学的根拠に基づいた本書は、心理学、脳科学、認知科学、神経科学などの研究者はもちろん、いわゆるビジネスコーチングや、キャリア、人事、組織戦略などのコンサルタントにとっても役立つと思います。

とりあえずこれを学んでおけば、2021年までの研究を網羅していますから、おすすめしたいです。

(中編、後編に続く)

(構成:泉美 木蘭)

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