日本のGDPが「インドの4分の1」になる衝撃の日 軍事費も伸び、米中に引けをとらない水準に

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また中国国内の債務問題、今後の少子高齢化の影響、アメリカによる中国経済とのデカップリング(切り離し)政策や台湾問題などを考えると、中国経済が飛躍的に成長しつづけることはないとの見方もある。

同じころに予測を発表した日本経済研究センターは、2036年以降も中国の成長鈍化がつづく公算が大きく、GDPでアメリカを上回ることはないのではないかとしている。また、いったん中国が逆転したとしても、その後ふたたびアメリカが抜き返すという可能性も指摘されている。

しかしそうした点を割り引いたとしても、2030年代中盤のインド太平洋地域においては、中国とアメリカが並び立つ状況が想定される。このなかで、中国にロシアをくわえた権威主義陣営と、アメリカに日本、オーストラリアをくわえた自由民主主義陣営のGDPが拮抗した状態になるのは、ほぼ間違いないだろう。どちらかが圧倒して覇権を確立するような状態は想定しにくい。

この2030年代中盤のインド太平洋地域秩序を考えるとき、重要な意味をもつのがインドだ。

インドは、この時点で米中とはかなり差があるとはいえ、第3の経済大国となっている。単純に考えれば、インドがどちらの側につくかによって、地域の、少なくとも経済秩序の帰趨が決まる。インドの動き次第で、今後の秩序の主導権は、アメリカを中心とした自由民主主義陣営にも、中国を中心とした権威主義陣営にも行く可能性があるということになる。

2050年の日本とインドのGDP

さらに先の未来図になると、この流れがいっそう明確になる。同じくイギリスを本拠とするグローバルなコンサルタント企業、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、2017年2月に、『2050年の世界』を発表した。同報告書によれば、中国の成長率が2030年代以降、先進国並みに低下するのとは対照的に、人口ボーナスのつづくインドは、2040年代まで高成長を維持する。

その結果、2050年には、インドのGDPはアメリカの82パーセント、中国の56パーセントにまで接近するという(下記図 )。想像したくはない話かもしれないが、このときには日本のGDPは、インドの4分の1にも満たない。

もっと先の、約半世紀後の予測もある。2022年12 月、アメリカの投資銀行、ゴールドマン・サックスは、2075年までに、インドのGDPはアメリカをも上回り、中国に次ぐ世界第2位の経済大国になると発表した。

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