ドレイク怒る!AI生成「フェイク曲」ヒットの衝撃 単なる著作権問題ですまない多大なインパクト

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ドレイクの声を模してAIで生成されたフェイク曲は、ストリーミングサービスなどで人気を博した(写真:Adam Riding/The New York Times)

ドレイクとザ・ウィークエンドという世界でもトップクラスの人気を誇るミュージシャンにとっては、2人の声を模して人工知能(AI)で生成されたという「Heart On My Sleeve」という楽曲は、不快感をもよおす程度のものだったかもしれない。この曲は強大なレコード会社によってすぐに削除されたため、人気は一時的なものにとどまった。

だが、ほかの業界関係者にとっては、より深刻な問題を提起するものとなった。この曲はソーシャルメディアで話題となり、TikTok、Spotify、YouTubeなどで何百万回も再生された。必要な規制が整備される前に、新しいテクノロジーが創作者や消費者の意識の中心に乗り込んできた格好だ。

「お遊び」とは違うグレーなジャンル

近ごろでは、生成AIを部分的、あるいは全面的に使用して、本物そっくりか、それにかなり近い楽曲をつくり出すケースが急増しており、「Heart On My Sleeve」はそうしたグレーなジャンルの存在を示す最新かつ顕著な事例となった。

生成AIは、シンセサイザーやサンプラー、ファイル共有サービスの「ナップスター」など、かつて音楽業界を混乱させたテクノロジーと比較されることがよくある。

AIのリアーナがビヨンセの曲を歌い、AIのカニエ・ウェストが「Hey There Delilah」を歌うというのは無害なお遊びのように見えるかもしれない。しかし、公式ストリーミングサービスに「Heart On My Sleeve」が登場し(たとえ短期間であっても)成功を収めたことで、音楽業界の警戒感は一段と強まった。音楽業界はこれまでも、著作物がAIによって学習され、その価値が希釈される可能性に懸念を募らせてきた。

主要レーベルの中でも最大手で、ドレイクとザ・ウィークエンドの双方が所属するユニバーサル・ミュージック・グループは先月、知的財産権の侵害にあたるとして、提携関係にあるストリーミング会社に警告を発した。

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