ドレイク怒る!AI生成「フェイク曲」ヒットの衝撃 単なる著作権問題ですまない多大なインパクト

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「Heart On My Sleeve』では、歌詞、楽器のビート、メロディ、ボーカルといった要素のどれがAIによってつくられたのか正確にはわかっていない(ゴーストライターはコメントの求めに応じなかった)。

実際の人間によって作曲・録音された曲がAIによる有名アーティストの模倣に置き換えられ、AIの「学習」に使われた既存の楽曲と同等の効果を生み出すケースもある。こうした楽曲は法的に問題となりかねない。例えば、アーティストや写真家が、自作の派生バージョンを作成したとして画像生成ツールを訴えるケースはすでに起きている。

だが、人間のクリエイターが自分の曲を有名アーティストの演奏と偽ったり、有名アーティストとの類似性を利用して商業的な宣伝活動を行ったりすることには、法的に別の問題もからんでくる。過去には、トム・ウェイツやベット・ミドラーなどのミュージシャンが、作曲や録音だけでなく、自分たちの声にも権利があると法廷で主張し、勝訴している。

AI利用に前向きなミュージシャンも

今回の件に関していえば、ドレイク、ザ・ウィークエンド、およびユニバーサル・ミュージックにとって、「Heart On My Sleeve」をストリーミング収益が得られるサービスから削除し、ビルボードにランクインしかねない状況から排除するのは簡単だったかもしれない。

というのは、この楽曲はラッパーのフューチャーの人気曲からボーカルの一部を使用したとみられるためだ。これはつまり、メトロ・ブーミンがプロデュースした楽曲を無許可で使用したことを意味する。

ドレイク、ザ・ウィークエンド、メトロ・ブーミンはこの件についてコメントしなかったが、ドレイクは先日、AIがドレイクの声を使って生成したアイス・スパイスの「Munch」に対し、「AIにはもう我慢ならない」とInstagramに記し、不快感をにじませた。

その一方で、自身のAI音声をほかのミュージシャンのためのツールとして提供(対価を得るシステムも完備)、AI利用に関する同意ガイドラインを作成する企業「Spawning」を立ち上げたハーンドンのようなミュージシャンは、AIが公正かつ倫理的に活用される未来に魅力を感じている。

ハーンドンが言う。「このテクノロジーを封じ込めるのではなく、探求してこそ、より多くのチャンスがつかめるのではないでしょうか」。

(執筆:Joe Coscarelli記者)
(C)2023 The New York Times

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