「銀座・強盗事件」少年が無謀な犯行に及んだ背景 専門家「昨年から続く一連の事件と同じ構図」

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事件発生翌日の発生時刻とほぼ同時刻。現場を取材した松丸さんは、まず店の外観を見渡す。

「店の外の人目もまったく気にしておらず、大胆という見方もありますが、逆に言うとそのぐらいまったくの素人という印象です。短時間でやれば大丈夫、逃げられると考えていたフシがあります。これは少年たちが独自に計画したものではなく、明らかに指示役に“マインドコントロール”をされたうえで、迷わず現場をめがけてやってきて犯行に及んだのでしょう」

「計画性」はあるが「綿密性」はない

白昼堂々、衆人環視の中で及んだ犯行。松丸さんは少年たちの強奪の仕方に注目する。

犯行があった高級腕時計店を検証する松丸俊彦さん(写真:筆者撮影)

「手慣れた犯行グループなら、店の外に『防衛担当』を置きます。今回のように店のドアを閉めた通行人など、犯行を阻害されないように『いま撮影中です』などと周囲に呼びかけます。逃走用の車もあるし、凶器のバールも用意しているので計画性はありますが、計画の綿密性がないのです」

少年たちの大胆不敵な行動もさることながら、そもそもなぜこの店が狙われたのだろうか? 松丸さんは「この店が特に立地的には狙われやすいとは断言できない」と述べたうえで、こう分析する。

「1カ所にたくさんの高級腕時計、つまり金目になるものがまとまった状態で陳列されています。だから、この店から金品を強奪すれば手っ取り早く金目のものを奪うことができるということでしょう」

松丸さんによれば、この店が狙われたのは、犯行を計画している指示役の周辺にいる「情報屋の暗躍によるもの」と考えられるという。

“どこそこの店には大量の宝飾品が陳列されている”“ある民家には室内に大金が保管されている”など、情報屋がまとめた強盗候補リストが犯行グループ内で共有され、つねに狙われているという恐るべき実態が、本件のみならず、昨年末以降全国で相次ぐ、一連の強盗事件から見て取ることができるのだ。

「今回の犯行は、指示役の指令を受けて少年たちが実行役として犯行に及んでいますが、逃走支援役に加えて、強奪した品を運搬する役目の人物、それに強奪した高級腕時計を金に換える役目を負う人物の存在もあるはずです」(松丸さん)

松丸さんの捜査関係者への取材によると、逮捕された4人の少年たちは「お互いの面識がない」(捜査関係者)という。こうした点は一連の強盗事件とまったく同じと松丸さんは強調する。

「今回の強盗事件も闇バイトを通じて結成された実行犯グループによるものでしょう。なぜ闇バイトにつられるのか。一番はカネです。リクルートする側は、“報酬は1回100万円”などとうたって引き寄せます。それにつられた人たちが、起訴されれば実刑となるような強盗事件に安易に乗っかってしまっているのです」

そこに一度足を踏み入れてしまったら、地獄の始まりだ。

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