為替を1ドル100円で試算してみます。すると、米国の保険料は日本の約半額という結果になります。詳しく言うと、日本の大手生保より約50%安く、日本のネット・通販系生保より約25%安い水準です。
この種の比較計算には為替レートが大きく影響します。最近の円安相場、1ドル=120円ですと、大手生保より40%、ネット生保よりも10%安くなり、その差は縮小します。とはいえ、日本の大手生保の保険料が米国の水準と並ぶためには、1ドル=210円まで円安が進む必要があります。
最近は日本でも、ネット・通販系生保や各種共済がかなり保険料を引き下げ始めています。そのため、この10年で日米の保険料格差は縮小傾向です。かつては、高い日本の保険を見限り、米国で生命保険に入る日本人も多く見られましたが、最近は減ってきているようです。しかしそうは言っても、日本の保険料水準は欧米と比べた場合、まだまだ高止まりの状態にあります。格差はそう簡単には埋まりません。
高い生命保険料、その3つの理由
どうしてこのような保険料の差が生じるのでしょうか。実は、為替とは関係なく、そこには日本の保険の構造的な問題があるのです。その主な理由は3つです。
主要な金融商品の中で、手数料が際立って高いのが保険です。たとえば、投資信託は3~5%ですが、損害保険は30~35%です。ひとケタ違います。皆さんの払う100円の保険料のうち、30~35円が手数料として取られているということです。これに対し、欧米では20%台です。これは欧米の保険会社が経営の効率化により、日本よりも少ない経費で保険事業を運営していることを意味します。
生命保険はどうでしょうか。ほとんどの生保会社は、手数料を公表していないので不明です。ただ、おおよそ損害保険と同じか、それより高めの水準と考えられます。保険の手数料が高いのは世界共通ですが、先進諸国の中で日本は突出しています。
保険はギャンブルと同じです。下手をすると胴元である保険会社が負けて損をすることもあります。そこで保険会社は確率論(保険数理)を使って、滅多なことでは損をしない仕組みを作りあげています。保険は高度な確率でつくられた商品です。
一方、保険会社は、死亡や事故の際に支払うお金を準備するため、事前に十分な保険料を集めておく必要があります。保険料のうち将来の支払いに備えて集めた分、それが保険の元値(原価)です。
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