金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘
その背景のひとつに、2024年1月に予定されているNISA制度の刷新がある。
NISA拡充は、岸田政権が昨年11月の資産所得倍増プランで掲げた看板施策だ。ただ、実際のNISAの買い付けは手数料水準の低いインデックス型投信に集中しがちで金融機関側にとって“うまみ”は小さく、システム整備の負担増に対する不満が根強い。
「結局、NISAで口座が増えるのは一部のネット証券だけ。ほとんどの証券会社にとっては割に合わない負け戦だ」(有力証券会社)、「金融庁が制度改正に動くたびに改修で儲かるシステム業界は、当局とグルではないのかと疑いたくなる」(地銀)といった恨み節が聞こえる。
一方、システム会社側からは「金融分野は特に高い安全性が求められるため、コストの削減幅には限度がある」(システム会社幹部)という意見も聞こえる。
システム業界をスケープゴートに?
NISA口座倍増という政府目標に向けた取り組みに事業者間の温度差も目立つ中、金融庁は足元、現行一般NISA枠の機能を引き継ぐ「成長投資枠」の対象商品選定をめぐって業界側との折衝に苦戦している。システム業界をスケープゴートとして槍玉に挙げた今回のレポートには、資産運用業界全体の“ガス抜き”的な狙いも透ける。
単に金融機関のコスト削減にとどまることなく、一般利用者である国民の利益追求につながる改革を実現できるかどうか、金融庁の調整力が問われている。
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