金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘
証券会社などの投資信託の管理システムを、一部事業者が寡占化していることが、投資家のコスト負担につながっている――。
金融庁は今年4月、投資信託の現状について課題を整理した、「資産運用業高度化プログレスレポート2023」において、冒頭のような問題認識を提示した。
システム会社間の競争がない状況では金融機関側のコストが押し上げられ、その負担は最終的に一般利用者に転嫁されかねない。金融庁が直接の管轄ではないシステム領域の課題に踏み込んだ背景には、政府が打ち出したNISA拡充策をめぐって証券界や銀行界で渦巻く不満がある。
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投信システムの寡占化とは、どういうことか。
投信業界はおおざっぱにみると、個々の商品のメーカーにあたる運用会社と、銀行や証券会社などの販売会社で構成される。運用会社と販売会社は日々、投信の運用状況などに関する膨大な量のデータを「公開販売ネットワーク」と呼ばれる仕組みを通じてやりとりする。さらにこの公販ネットワークは、基準価額(投信を売買する際の価格)を算出する「計理システム」という別の仕組みとつながっている。
この計理システムにおいて、金融庁調査では残高、件数ベースでトップの事業者のシェアが約7割を占める(下図参照)。ベンダーごとの仕様の違いのせいで、異なる会社のシステムをつなぐには追加的な手数料を求められるケースが多く、結果的に公販ネットワークでも寡占状態が広がっているとみられる。
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