金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘
当局内には、「システムのコストは結果的に、投資家への負担増加につながり、『貯蓄から投資へ』の流れを阻害する要因となりかねない」(金融庁職員)という懸念がある。
レポートは、各種システムにおける寡占化の結果として事業者間の競争が働かず、それが金融機関側のコスト高の原因になっていると指摘。投資信託協会に対し、システムの仕様統一などを通じた寡占状況の解消を促している。
公表資料では事業者の社名こそ伏せられているものの、投信まわりの各種システムの分野では野村総合研究所(NRI)など証券会社系の存在感が強いことで知られる。
仕方がないと黙認された過去
システム分野の寡占状態については過去にも水面下、何度か金融庁内で議題に上っていた。ある事情通の金融庁関係者によれば、森信親元長官の時代にもシステムの寡占化について正式に問題提起すべきという声が上がったものの、「それが彼らの商売なら仕方ない」と幹部からの意見で頓挫した経緯があるという。
別の関係者によれば中島淳一・現金融庁長官は就任後、「こういう市況で一部システム会社の業績だけが好調というのは違和感がある」と周囲に話した。制度上は直接的な監督の権限をもたないはずの金融庁が、このタイミングでなぜシステム分野の寡占化という問題に足を踏み入れたのか。
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