有名観光地ばかり旅行する人が見落とす重要視点 「違った街」で「いつものこと」をする効用

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だから僕は小学生のころ、諫早駅前のデパートや本屋に行くことがとても楽しみだった。いま思えば、鉄道で数駅の遠出ですらない短い移動だったけれど、小学生の僕には大冒険だった。いまでも、「諫早」という地名を聞くと少しときめいてしまう。

最も好きな「小さなひとり旅」の行先

そして僕は小学生のころから30年以上経ったいまでも、この「小さなひとり旅」をよくしている。いまの僕が一番よく、ひとりで出かけているのは神奈川県の三浦半島だ。三浦半島は僕が住んでいる最寄りの駅からは、鉄道で1時間半ほどの、海と山が両方楽しめるところだ。その中でも僕が比較的よく行くお気に入りの場所は、京浜急行電鉄の終点の三崎口駅からバスで2つ目の停留所に入り口のある「小網代の森」だ。

小網代の森には、三浦半島の魅力が凝縮されている。この森には小さな川が流れていて、しかもその川の水源から河口までがまるまる含まれているのだ。三崎口駅に近い側から小網代の森に入ると、この川の流れにほぼ沿って、森の中の道を下りていくことになる。つまり、小さな山の頂上近くから、海まで下りていくことになるのだ。

少し歩いて下りるだけで、生えている木や草や花や、見かける虫や小動物がどんどん変わっていく。これがとても楽しくて、ひとりで歩いていてもまったく飽きない。入り口から河口まで、ゆっくり歩いても1時間ちょっとだ。ものすごく狭い範囲の、短い距離にびっくりするくらいたくさんの自然が詰まっているのが、小網代の森なのだ。

たとえば入り口から中腹にかけては、バッタや蝶など森の生き物をたくさん見ることができる。そして湿地を経て干潟に下りると、さまざまな魚やたくさんの種類のカニも見ることができるのだ。

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