堀江貴文「1つの専門性を磨き続ける人が危険な訳」 「かけ算」こそ凡人が勝てる唯一のキャリア戦略

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たとえば、日本には膨大な野球人口があるが、プロ野球の選手になって一軍で活躍したり、メジャーリーグに行けたりするのは、ごくごく一部の人だけだ。

もともととんでもない才能を持っている人たちが「ものすごい努力=たし算」をすることによって、考えられないようなレベルに到達しているのがプロの世界だ。

凡人が「努力」だけによって、彼らと同じだけのパフォーマンスを上げようとするのは、どだい無茶な話である。

では、そんな「選ばれし人」以外の人が、自分の価値を高めるには、どうすればいいのだろうか?

答えは1つしかない。「かけ算」である。

「かけ算」という武器

1つの分野だけを極めようとするのではなく、複数の分野で腕を磨き、その両方を組み合わせることで新しい価値を生み出していく発想が求められるのである。

多くのビジネスパーソンは「営業」とか「経理」、あるいは「自動車業界」とか「IT業界」といった1つの専門分野、1つの領域に留まったままキャリアを歩もうとしがちだ。

しかし、これでは自分と同等のスキル・知識を持った人は、山ほど存在することになる。あなたの信用資産は高まるどころか、大勢のなかに埋もれていく一方だ。

もし、ここで「かけ合わせ」ができれば、どうだろうか?

たとえば、「経理のことを熟知した営業マン」とか「自動車業界を知り尽くしたエンジニア」という具合にスキルや知識のかけ算をした瞬間、自分と同じような属性を持った人の数を大幅に減らすことができる。

このロジックを見事に磨き上げたのが、教育改革実践家・藤原和博さんが語る「100万人に1人の存在になる方法」である。

藤原さんによれば、だれでもある分野に1万時間をかければ「100人に1人」の人材にはなれるという。

ある1つのことに毎日6時間ほど打ち込み、そのまま5年間が経過すれば、その人はその限られた分野における「トップ1%人材」にはなれるというのである。こうして、世の中には「100人に1人の営業マン」「100人に1人のドライバー」がたくさん生まれている。

しかし、彼らのバリューが注目されることはない。

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