27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に

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大企業が総投資額の10%をソフトウェアに割いているのに対し、従業員数300人以下の企業ではその比率はわずか4%である。2017年に何らかのデジタル機器やソフトウェアに投資した中小企業は、4社に1社にとどまっている。

経産省が中小企業にデジタル技術の利用が進んでいない理由を尋ねたところ、「ITを導入できる人材が不足している」という回答が43%と最も多い結果となった。また、「IT導入の効果が不明確、または十分でない」が40%と僅差で2位だった。日本には、こうした中小企業にITを活用した売り上げの向上や、効率化の方法を示すコンサルタントが数多く必要なのだ。

高校教育が遅れている

この問題は高校から始まっており、教師自身のITスキル、こうしたテーマを教える能力、教師を養成するためのリソース、さらには十分な機器やオンライン学習プラットフォームといった重要な分野で、日本はOECDの中で最下位に位置している。

政府の教育改革アドバイザーである鈴木寛氏は、大学入試にデジタルスキルが含まれていないことが大きな理由の1つだと指摘する。そのため、高校の教師は教える必要性をほとんど感じていない。

鈴木氏によれば、2025年からは、入試にIT関連の問題が含まれるようになるとのことで、進んではいる。しかし、誰が教師を指導するのだろうか。そして、それにはどのくらいの時間がかかるのだろうか。

また、優秀な学生がデジタル専門人材になるために必要な時間とお金を費やすインセンティブも、他の富裕国よりはるかに低い。ほとんどの企業では、給料を決めるのに、依然として職業よりも年功序列が重視される。

2021年、日本のデジタル人材の平均年収は、2019年から4%減の438万円にとどまった。これは、日本の給与の中央値から2%下回る水準である。最もスキルの高いデジタル専門人材の給与では、その差はさらに大きくなっている。

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