ラングラー4xe「20th特別仕様」悪路走行の妙技 「悪路を走る楽しみ」を残すPHEVのジープ

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私がドライブしたとき、4月が目の前なのに吹雪のエリアもあれば、真夏を思わせる日差しのエリアも。マイクロクライメート(狭い場所内で環境が変わること)のサンプルのような土地だった。

特に印象に残ったのは、レッドロックという赤茶けた岩場がえんえんと続くコース。そこをルビコン4xeはまったくの困難なく、スイスイと上り下りしていった。道の状況によって、今もレバーを手動で操作する方式を守る副変速機を操るのが、ジープで悪路を走破するポイントだ(って誰でもわかりますよね)。

左が副変速機のレバー。その奥に4×4システムの切り替えスイッチがある(写真:Stellantisジャパン)

平坦路では「4H」あるいは「4Hオート」を選び、きつい勾配が現れたらいったんクルマを停止。変速機のポジションをニュートラルにしたあと、硬めの副変速機レバーをよいしょと「4L」に入れる。いってみればゲーム感覚で悪路をドライブできるのが、このラングラー ルビコン4xeの魅力なのだ。

もし、パワーがなければ、コースの選択1つとっても頭を使う部分が増えるだろう。それも楽しいかもしれないけれど、私にはフールプルーフの部分が多い4xeのほうがいい。

多気筒・大排気量も残すジープのこれからは?

ラングラー ルビコンには並行して、6.4リッターV8エンジン搭載のラングラー「ルビコン392」というモデルも設定されている。このトルクのかたまりのようなエンジンもすごい。

どのモデルでもジープらしい乗り心地と走破性は共通する(写真:Stellantisジャパン)

「(2024年にはBEVを出すというジープだけに)4xeを市場に浸透させることは重要ですが、昔からのファンが多気筒・大排気量エンジンのフィールを愛しているのも理解しています」

ラングラーシリーズ開発責任者のピート・マイロ氏はモアブでの試乗の際、私にそう語ってくれた。

「合成燃料を使って多気筒エンジンを残すという選択を含めて、可能性は多様ですが、現時点でハッキリしたことは言えません」

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多気筒エンジンをあきらめないと“公言”しているプレミアムSUVブランドもある。ジープはこれから先どう変わっていくか。それを見届けるのも、クルマ好きにとっての楽しみだ。

参考までに、下記は今回のラングラー ルビコン4xe 20thアニバーサリーエディションの専用装備である。

・2分の1インチ(約1.27センチ)サスペンションリフト
・約28センチの最低地上高(標準モデルより約1センチ高)
・トリプルフープ(3つのアーチの意匠)グリルガード
・スチールバンパー(フロントはウインチ対応)
・17×7.5インチビードロック(低空気圧時の脱着防止機能)対応ホイール
・33インチ径BFグッドリッチ社製オールテレインT/A KO2タイヤ
・ヘビーデューティースチール製ロックスライダー(側面下部保護)
・フロントオフロードカメラ
・赤と黒のカラーコンビネーションのレザーシート
・全天候型フロアマット

日本法人であるStellantisジャパンによると、このルビコン4xe 20thアニバーサリーエディションに日本仕様は、残念ながら設定されないもよう。でも、20thアニバーサリーエディションでない“普通のルビコン4xe”で、じゅうぶん楽しめると思います。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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