いかがでしょうか。自分がやってきたことを手帳に書き込んで、後から振り返ることで、「自分はこれだけやっているのだから大丈夫だ」と思えるようになったというわけですね。
手帳は普通、これから先の予定を書き込むために活用するものだと思います。後からの振り返りを想定しているものではありませんよね。その使い方だけであれば、デジタルのほうがいいといえます。リマインドをしてくれたり、他人とスケジュールを共有しやすかったりと、使い勝手がいいからです。
しかし、東大生はそれだけではなく、「後から元気をもらう」という使い方をしているのです。後から自分の努力を確認したり、今の自分の状態を客観的に見たりする。そのために、今日の勉強の感想や勉強の記録を取っておき、後からそこに解釈を書き加えることもあります。そうした使い方をすると考えると、紙の手帳のほうが元気をもらえることがあります。
自分の文字を見て、「ああ、この日は焦っていたんだな」とか、「筆圧が濃いから、強い感情でこれを書いていたんだな」とかわかるほうが、「私、頑張ったんだな」という気持ちになれるのです。
そしてそのために、東大生は「予定を管理する」手帳の使い方ではなく、「予定を振り返って、確認する」手帳の使い方をしている場合が多いです。「こんな勉強をする」という予定を書くのではなく、「今日、自分は勉強をこれくらいやった」ということを明確にするのです。
手帳を使う意義は「可視化」
この連載の第15回(『東大生明言「紙の手帳使うと学力が劇的向上」の訳』)でも触れましたが、手帳を使う意義というのは「可視化」ができる点にあると思っています。
多くの場合、勉強の記録を「これくらいやった」と伝えにくい場合があります。例えば、学生に対して、「昨日なんの勉強をした?」と聞くと、たいていの場合「数学をやった」「英単語やった」と一言で返ってきます。
そしてそれに対して、僕が「具体的にどんな勉強をどれくらいしたの?」「どんな目標があって、どれくらい終わったの?」と聞くと、「え、うーん」「よくわからない」となかなか答えられない場合が多いです。しかしそれだと、「何を身につけていて、何が不足しているのか」がまったく見えません。
毎日、「何を終わらせるために、どれくらい頑張ったのか」「その勉強によって、自分はどうなったのか。うまくいったのはどこで、何がうまくいかなかったのか」ということを明確にしなければならないわけですね。
そうやって、自分のことを振り返ることができている人が東大合格者には多いです。みなさんぜひ、このような紙の手帳の使い方を参考にしてみてもらえればと思います。
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