中国で進む「世界を変える」バッテリー開発の全容 リチウムイオン電池より安くて高性能

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塩は豊富に存在するとはいえ、ナトリウムの主要な供給源はソーダ灰であり、世界の採掘場の90%以上はアメリカに集中している。ワイオミング州南西部にある砂漠の地下深くには、5000万年前に形成されたソーダ灰が広大な範囲に堆積し、アメリカのガラス製造業に長く利用されてきた。

ソーダ灰原料の埋蔵量が少なく、アメリカからの輸入に依存することをためらう中国は、代わりに石炭を燃料とする化学プラントで合成ソーダ灰を生産しているが、中国の合成ソーダ灰産業には大規模な水質汚染を引き起こした過去がある。

リチウムは永遠に支配的な素材ではない

ナトリウムをめぐるもう1つの課題は、リチウム相場の高騰が続くのかどうかだ。リチウムの価格は2017年から2022年11月にかけて4倍になったが、その後は3分の2も価格が下がっている。

耐久性についても疑問が残る。電力会社は、ナトリウムイオン電池が研究所内だけではなく、屋外で数年にわたってどのように性能を発揮するかを確かめたがっている、とコンサルティング会社ランタオ・グループの電力セクターコンサルタント、デービッド・フィッシュマン氏は話す。

それでもフィッシュマン氏らは、ナトリウムイオン電池の開発を注意深く見守っている。バッテリーの需要は急速に拡大しており、おそらくリチウムが永遠に支配的な材料であり続けることはないからだ。

BHPのヘンリー氏が言う。「間違いなく、ナトリウムには果たすべき役割がある。その先頭に立って研究を推進しているのが中国だ」。

(執筆:Keith Bradsher記者)
(C)2023 The New York Times

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