中国で進む「世界を変える」バッテリー開発の全容 リチウムイオン電池より安くて高性能
その時点でも、リチウムイオン電池に比べればナトリウムイオン電池の生産量はかなり小さなものにとどまるとベンチマーク・ミネラルズは予測するものの、ナトリウムイオン電池の進歩は加速している。
ナトリウムイオン電池にとって目先の有望な用途は、送電網だ。送電網向けバッテリーの市場は、とりわけ中国で急成長している。テスラは先日、電力供給者向けのリチウムイオン電池工場を上海に建設すると発表した。
ナトリウムイオン電池でリチウムイオン電池と同じ容量を確保するには、サイズを大きくする必要がある。スペースが限られる自動車にとっては問題だが、電力網の蓄電池として使う場合には問題とならない。
リチウムイオン電池からナトリウムイオン電池に切り替える電力会社はただ、倍の大きさのバッテリーをソーラーパネルや風力タービン付近の空き地に置くだけの話だ。
世界中の電力会社は、太陽光や風力など気候変動問題に対応した電源シフトを進める中で、大量のバッテリーを必要とするようになっている。太陽が照り、風が吹きつける間に電力を蓄え、石炭・ガス発電を代替することが求められているからだ。
ナトリウムイオン電池をとりまく「不安」
リチウムイオン電池とは異なり、最新式のナトリウムイオン電池はコバルトのような希少な材料を必要としない。コバルトは主にアフリカで採掘される鉱物だが、人権団体が警戒するような状況で採掘が行われている。またナトリウムイオン電池は、インドネシア、ロシア、フィリピンの鉱山から主に供給されるニッケルも必要としない。
だが中国は、ナトリウムイオン電池で主導権を確立しようとする中で課題に直面してもいる。まずは、ナトリウムをどこから手に入れるかという問題だ。