オリンパス「カメラ事業」、売却されて初心に回帰 分社化を機に自覚した経営の弱みと製品の強み

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OMデジタルは2020年設立の新しい会社だ。元々はオリンパスの一事業部門として、カメラやレコーダーなどを製造・販売していた。2020年にオリンパスはこの映像事業を新会社として分社化、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却した。

分社化から2年で営業利益が黒字化

オリンパスの映像事業だった頃は赤字が常態化。OMデジタルとしても大赤字からのスタートだった。しかし足元、2023年3月期の全社での営業利益率は約5%あるという。

「オリンパスという大きな会社の一事業だった頃は、売り上げ利益の最適化、という視点が欠けていた。当然のことではあるが、利益を起点としたビジネスができるようになった」オリンパスの映像事業の業績

オリンパス時代には執行役員として映像事業を率いていた杉本社長は、分社後の変化についてそう分析する。オリンパスの映像事業は「技術のドライバー」としての意識が強すぎたあまり、利益を追求する意識が薄かった。販売は売り上げの最大化を目指し、製造にも無駄があった。

分社後は、各現場にとっての最適ではなく、全社利益の最大化を目指して改革を進めた。適切な利益を出し続けることで会社が存続でき、顧客に対する供給責任を果たすことができる、という意識を会社全体で共有できるようになった。

また、分社化により小さな会社になったことで、機動力が高まった。思い切ったブランディングはもちろん、異業種協業やイベントなどを実施する判断のスピードが格段に向上した。

すでに供給が始まっている滅菌機能を持たせた獣医師向けのカメラセットはその好例だ。動物の患部を超ズームで観察・撮影することができる。一般向けのカメラ市場は縮小均衡でも、産業向けではカメラならではの撮影・光学ズーム機能に需要発掘の余地がある。

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