資源を薄利多売するロシア、暖冬に救われた欧州 ウクライナ侵攻で貿易半減し双方にダメージ

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しばしば耳目を引くロシアからEUへの天然ガス供給については、2023年2月までの間に戦前平均対比で90%以上が削減された状態にあり、EUはノルウェー、アルジェリア、アゼルバイジャンといった他国からの代替供給へシフトしている。

また、開戦後、EUが世界中から液化天然ガス(LNG)をかき集めており、2024年末までに2021年末対比で輸入能力が3割増強され、世界のLNG需要の1割を囲い込む見通しもある。

しかし、後述する通り、2023年中にエネルギー不足が解消するめどはたっていない。

なお、EUという大口顧客を失った分、ロシアの貿易取引も変わることになる。開戦直後、ロシアの輸入は対EUだけではなく対世界全体でも半減しているが、時が経つに連れ対ロシア制裁に加わっていない国々がロシアへの輸出を増やし、2023年初頭時点でロシアの対世界輸入は戦前の水準に戻っている。

ロシアはコスパの悪い財を買わざるをえない

ロシアの輸入の変化を最も特徴づけるのはやはり中国で、2023年1月時点でロシアの財輸入の半分が中国から来ている。しかし、ECBはロシアがサプライチェーンを再構築し、財輸入を回復させる一方、「回復した輸入の“質”が依然と同じものなのかどうかは不透明感がある」と指摘している。

というのも、ロシアはハイテク財輸入の多くを西欧に依存していた。言うまでもなく、それらの財は輸出が制限されているため、必然的に質の低い財への置き換えが進んでいるか、質が同じでもより高い財を買わされている恐れがある。

質の低い財や不必要にコストのかかる財で経済活動を強いられれば生産性は低下するので、ロシア経済の潜在成長率も押し下げられることになる。

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