「完全な男性になった」"元女性"アイドル衝撃告白 「男になれてよかった」26年目で明かす驚く過去

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この思いつきの仙台行きに、性別を変えたことが何か影響しているのかは、らいち本人すらわからない。不思議なこととしか言いようがないだろう。

そこからの展開は早かった。どこか既存の芸能事務所に所属するわけでもなく、自らアイドルグループを作るべく奔走

まずはSNSなどでメンバーを募集。メンバーの選考を行いつつ、曲を作り、ダンスの先生を探す。メンバーが決まったところで、レッスンを始める。拠点となるライブハウスなども何のつてもないゼロからあたっていった。

「もうとにかく手探りの状態で始めたんですが、不思議とうまくいきましたね。もっとも、その後が大変だったのですが」

右往左往しながらも2021年11月1日、らいちの手掛ける「僕ドル」がデビュー。だが、現実は厳しく、10人にも満たないファンの前での公演が続く

同時に、メンバーもモチベーションが低下し、一人抜け、また一人抜け、とらいちの元を去っていった。

残念ながら、真剣に「アイドルとして売れたい」という想いを共有できる者は少なかった。弟分となる新グループを立ち上げ、「僕ドル」の動員も増えたが、新グループのメンバーもまた、わずかの間に去っていった。

26年目のカミングアウト

そしてこの5月に信頼できるメンバーとらいちで「僕ドル」が新たなスタートを切る。

はっきりいって彼らのステージは、まだまだ褒められるレベルではない。それは彼ら自身が一番よく知っている。

だからこそ、ここからのリスタートにらいちは男として、メンズアイドルとして、人生をかけて取り組んでいる

自分が女だった話をネタとしてできるようになるまで26年かかりました。苦しいこともあったけど、男になれて本当によかったって思います。今は男として、アイドルとして、もっと上を目指すことだけ考えてます」

まだ人には語れないことも多いだろう。それだけの苦悩を重ねてきた。だがそんな素振りは微塵も見せない。

今、らいちは遅れてきた青春を取り戻し、その先の景色を見るために走り続けている。

本気で残ったメンバーには信頼を寄せている(撮影:松原大輔)
松原 大輔 編集者・ライター

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まつばら・だいすけ / Daisuke Matsubara

富山県出身。編集者・ライター・YouTubeプロデューサー。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。大学卒業後、講談社生活文化局にて編集見習いとなる。その後、文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などで編集者・記者を経て、2018年に独立。書籍の企画、編集や執筆活動、YouTubeの動画制作・プロデュース、アーティストマネジメントなどを行っている。

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