きっかけは当時、長く伸ばしていた髪をばっさりと切ったことだった。
すると周囲からは「男の子みたいだね」と言われ、完全に男の子と間違われるようになる。
当時、祖父母と通っていた銭湯でも「男の子はあっちだよ」と他の客に言われ、祖父と男風呂に入ることとなる。
そんなことが続き、幼いながらも「自分は男なんだ」と思い始めたという。
「今にして思えば、錯覚だったのかもしれません。だけど、ずっと男の子と周りから言われて、本当にそう思い込んできていました」
当時のことを、そう振り返る。これが、らいちにとって性別を初めて意識した出来事だった。
もともとサバサバとした性格で活発だったこともあり、小学校時代は男の子の友達とサッカーや野球などで遊んでいたという。この頃は、自分が女であることには特に不都合は感じず、楽しく過ごせていた。
女子の制服が嫌でたまらなかった中学時代
変化があったのは中学時代からだ。
地元中学に進学したらいちは、学校指定の女子の制服が本当に嫌いだった。スカートを履くことに馴染めず、学校に着くなりすぐに指定のジャージに着替えるなどして対応していた。
そして成長期のこの頃、徐々に女性になってきた自分のカラダに、ひどく違和感を覚え始めたのだ。
「周りの男子とも違ってきて嫌でしたね」
膨らみ始めた胸は、らいちにとって本当にもどかしいカラダの一部となっていた。
中学時代、らいちは体操部に入り、女の子の友達と部活動に励んでいた。ショートカットも部活では違和感なく、さばけた性格も合っていた。
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