60年愛される「ウルトラマン」中国で人気の必然 ほかの地域も戦略を強化しファンを増やす

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「60年前に円谷英二監督は、“空想の力”を、映像を通じて届けようとしました。いまの時代はそれがフランチャイズです。映画、テレビ、配信といった映像だけでなく、商品、イベント、デジタルコンテンツなどすべてを駆使してお客様に楽しんでいただく。もし円谷監督がいまいらっしゃったら、そう発想していたはずです。われわれがこれからやろうとしていることは原点回帰でもあります。それを取り戻しながら、いまのスタイルに置き換えていきます」

円谷プロダクション代表取締役会長 兼 CEOの塚越隆行氏(撮影:尾形文繁)

そのアウトプットの1つであり、ファンの最大の楽しみになっているファンイベント『TSUBURAYA CONVENTION』(11月25、26日:東京ドームシティ)が、今年3年ぶりにリアルで開催される。

ターゲット層をどんどん広げる

近年では、ウルトラマンシリーズの放送のほか、怪獣を子ども向けキャラクターとして描く『かいじゅうステップ』などで幼少期の子どもたちを取り込み、昨年の『シン・ウルトラマン」ではターゲット層をオール世代へと広げた円谷プロ。往年のコアファンから、初めてウルトラマンに触れるライト層までを集める同イベントは、次なる時代へ向けたショーケースになることだろう。

そんな円谷プロだが、先に挙げた3つのブランドのうち事業規模で見ると、いまはまだ『ULTRAMAN』が9割以上を占める。

ここ数年で怪獣キャラクターなど『TSUBURAYA・ULTRAMAN』が徐々に事業を拡大しているが、ウルトラマンが世界に進出するのと同時にこちらの成長にもドライブをかけていくことが課されるだろう。

それが2世代、3世代と家族間でファンをつないでいき、3つのブランドそれぞれが長く愛される好循環の拡大へとつながる。

日本企業の未来を見据えた戦略とともに世界進出に本格的に動き出す円谷プロに、エンターテインメント界だけでなく、幅広い業界業種からの注目が集まっている。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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