60年愛される「ウルトラマン」中国で人気の必然 ほかの地域も戦略を強化しファンを増やす
中国では、配信プラットフォームをはじめとするメディアを通してコンスタントに作品を届ける仕組みを作るとともに、トレーディングカードゲームのほか、玩具やアパレルなどライセンシー商品を拡充し、さまざまなイベントも実施してきた。
その結果、直近の2022年第3四半期(2022年4〜12月)で中国のMD(マーチャンダイジング)ライセンス収入は37億5300万円となり、前期比313%増(前期第3四半期:9億800万円)。通期では40億円超えが見込まれる。
この先、同スキームをアジア全域、さらには欧米へと拡大していくのと同時に、ブランドやフランチャイズによっては、日本企業とタッグを組んだ海外進出も見据えている。
塚越氏も「それぞれの国のライセンシー商品を海外でも販売できるような、国境を超えて企業が協力し合えるボーダーレスなチーム構造を作っているところです」と語る。
世界同時放送から目指す多国籍フランチャイズ
そんな世界進出への次なる後押しとなる施策が、サイマル放送(同時放送)だ。
これまでは、中国だけが日本と同時に新作が放送されていたが、7月スタートの新テレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』はアジア各国でもサイマル放送される。
また、Netflixと共同制作中のCGアニメ長編映画『Ultraman(原題)』(2024年公開)は全世界同時配信を予定。今後もこの方向性を継続していくという。
さらに、数年後には、新作のテレビシリーズ、映画を含めて全世界で同時に視聴できる体制を整えることを目指している。
「サイマル放送によって、多国籍で並行して連携することで、チーム円谷も成長し、進化していきます」(塚越氏)
それは塚越氏が掲げる、長期スパンでのビジネススキームにもつながるという。
「(ライセンシング関連の会社とは)必ずしも作品ごとではなく、作品をまたいで継続的にタッグを組むことで、(お互いに)ナレッジ(知識や情報)を蓄積する、中長期のパートナーになる発想です。それがチーム円谷のフランチャイズビジネスのポイントであり、強みにもなります」(塚越氏)
60周年の節目を次の10年へ向けた新たなスタートと位置付ける円谷プロ。ウルトラマンだけではない豊富なIPをグローバルに展開していくエンターテインメント企業を目指すとともに、チーム円谷として幅広い業種とのフランチャイズビジネスを拡大、循環させていくことを掲げる。
その戦略のベースに、塚越氏は原点回帰を据える。
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