サントリーのプリンスが抱く「酒類日本一」の野望 「金麦」に逆風、新商品投入でビール強化に躍起
サントリーは「運のええ会社」
――鳥井社長はこれまで、そしてこれからの人生も「サントリー創業家」の一員であるということがついて回ってきたと思います。その立場について嫌だと感じたことは。
創業家で良かったとも、嫌だったとも感じたことはない。創業家出身である、ということに気負いもないし、ただの「事実」だと思っている。私は左利きですが、「あなた左利きですね」って言われるぐらいの感じだ。それに対して「はい、左利きですよ」と。創業家であることを受け入れている。
ビジネスの話で言えば、流通や食品の業界も割とオーナー企業が多い。ついこの前もオーナーの集いのようなものがあった。そういったものは私だからこそ出席できる。他にも「サントリーの鳥井さん」ということで会ってもらえる社外の方もいるだろう。そういった利点はある。創業家であることを嫌がるような人は、そもそもこの場にいる意味がない。
――サントリーHDの大株主は鳥井さんが社長を務める寿不動産です。オーナー目線で見た時に、現在のサントリーをどう考えていますか。
今のところは「no more no less(それ以上でもそれ以下でもない)」。過去は売り上げの9割程度を日本国内に依存し、ポートフォリオがやや偏っていた。それは(2014年のアメリカ蒸留酒大手のビーム社統合などによる)事業地域の拡大や飲料事業の成長などで変わってきた。
各地域・事業でいろいろな成長の土台が出来上がっているので、それぞれでオーガニックな成長を目指していく時期だ。ホールディングスとしては、これ以上何かをM&A(合併・買収)したり、売却したりするというタイミングだとは考えていない。(海外進出など)うまくいっていて、サントリーは「運のええ会社」だな、と。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら