サントリーを駆り立てる「ビール停滞」の危機感 縮まらない2強との格差、反転攻勢を描けるか

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サントリーが10月に発売する「ビアボール」。若年層の取り込みを狙い、ビール事業での巻き返しを図る(写真:サントリービール)

「今のままでは絶対にダメだと思っている」――。

サントリービールの西田英一郎社長は、自社の現状について危機感をあらわにする。

アサヒ、キリン、サッポロの寡占状態だったビール市場にサントリーが参入したのは1963年のこと。それから45年が経った2008年、「ザ・プレミアム・モルツ」のヒットによって、ビール事業はようやく黒字化した。そのサントリーが、ビールでふたたび苦しい戦いを強いられている。

「やってみなはれ」精神の象徴とされ、「サントリーにとっての“魂”だ」(西田社長)とまで言わしめるビールに何が起こっているのか。

大黒柱「金麦」の増税が逆風に

国内では今、ビールの復権が進んでいる。背景にあるのは、2020年、2023年、2026年の3度に分けて実施される酒税改正だ。改正により、ビールは減税に、第三のビールやチューハイなどは増税となる。

2020年10月の改正以降、減税で小売価格が下がったビールの店頭での販売数量は拡大している一方、安さが売りだった第三のビールなどはお手ごろ感が薄れ、大きく減少した。アサヒビールの塩澤賢一社長は「酒税改正によって新ジャンルなどはそうとうな(下押しの)インパクトがある。ビールに追い風が吹いている」と話し、ビールに注力する姿勢を鮮明にする。

こうした業界を取り巻く足元の経営環境は、サントリーに逆風となっている。サントリーのビール類(ビール、新ジャンル、ノンアルコール飲料)の販売数量のうち、およそ6割を第三のビール「金麦」が占めているためだ。

「金麦」を含む新ジャンルの販売数量は、2019年に4321万ケースで過去最高だったが、酒税改正による増税の影響を受け、2021年には3782万ケースに減少した。こうしたトレンドは今なお続いている。

今後拡大が期待されるビールでカバーしようにも、サントリーにとってはそう簡単ではない事情がある。

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