サントリーを駆り立てる「ビール停滞」の危機感 縮まらない2強との格差、反転攻勢を描けるか

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ビール業界における2強は、「スーパードライ」を展開するアサヒビールと、「一番搾り」などを擁するキリンビール。サントリーは第三のビールなどを含むビール類の販売数量で2008年にサッポロを抜き、業界3位に付ける。

しかし、2強とサントリーの差は今なお大きく、ビール類の販売数量では2倍以上の差をつけられている。さらにビールに限って言えば、金麦効果も消えるため、サッポロビールに次ぐ4位に甘んじている。競合の大手酒類メーカー社員からは「やはりサントリーは洋酒のイメージが強い。“ビールの会社”とは思っていない」という声も聞こえてくる。

2021年にビール拡大の一手として投入した「パーフェクトサントリービール」は、同年の販売数量が198万ケースと、当初目標の230万ケースを下回った。柱の「ザ・プレミアム・モルツ」も、新型コロナの影響で業務用の販売が大幅に減り、低調に推移している。

会社の魂であるはずが、かつての勢いを失っているビール事業。西田社長は「今までビール製品は画一的なものばかりで、若年層などビールを飲む人を増やしてこられなかった」と振り返る。「ザ・プレミアム・モルツ」と「金麦」という約15年前に大ヒットした商品以降、業界勢力図を変えるほどの超大型ブランドを生み出せていないことも事実だ。

新会社、新商品で反転攻勢へ

酒税改正はこの先も2023年と2026年の2回実施される。ビールで反転攻勢を期すべく、サントリー社内では複数の取り組みが動き始めている。

その1つが、国内酒類事業を統括する「サントリー株式会社」の新設だ。今まではビール、ワイン、スピリッツとそれぞれで分かれていた事業会社を統合し、消費者の需要動向に合わせたスピード感のある事業展開を目指す。西田社長は「ビールで戦うための陣容を整えてくれたと思っている」と語り、酒類一丸となってビール強化に乗り出す方針だ。

また、2021年にサントリービール社内では「イノベーション部」が新設された。同部が初めて手がけた商品として、ビールを炭酸水で割って飲む「ビアボール」(家庭用の希望小売価格は税抜き698円)を10月から発売する。

ターゲットは、「ビールはダサい、おじさん臭い」(西田社長)といった認識があるという若年層だ。「これまでは『ビール』や『新ジャンル』などカテゴリにとらわれてきた。ビアボールのように、今までにない面白い商品を今後も出していく」(西田社長)。

次ページカギは大型製品の投入
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