サントリーのプリンスが抱く「酒類日本一」の野望 「金麦」に逆風、新商品投入でビール強化に躍起
――社内外からサントリーHDの次期社長との呼び声も高いです。
名前が挙がるだけでもありがたい話です、本当に。ただ、まずは国内酒類の消費量が減少する中で、どういった勝ち筋を見つけて実行できるのか、ここが最優先だ。
この10年以内にサントリーを日本で一番の総合酒類メーカーにしたい。日本でお酒の会社というと、アサヒビールやキリンビールを想像する人が多いだろう。そこをサントリーだと思ってもらえるよう目指す。圧倒的にそう思われるようにならないとダメだ。
――ただ、統括する国内酒類の消費量は1996年をピークに右肩下がりを続けていますね。
国内の酒類市場は、人口減少に伴い縮小し続けていくだろう。だから「海外進出します」というのが教科書的な答えになる。ただ、国内の酒類で見ると、サントリーのシェアはたかだか2割あるかないかだ。
国内で成長しようと思えば、いくらでもシェア拡大による成長の余地がある。また、販売金額で言えば、(実際には)製造できないのだが、高級ウイスキーの「山崎55年」を1万本作ればそれだけで金額は一気に拡大することになる。つまり、(販売)数量が下がったとしても、その時にどれだけ付加価値を出して拡大できるのかということだ。
国内首位狙うには、ビールは無視できない
――国内の総合酒類メーカーでトップになるためには、酒類の最大市場であるビールでのシェア拡大が欠かせません。現在はアサヒビールやキリンビールにシェアで劣後しています。
酒類市場(全体)で考えると、ビールは大きな存在だ。スーパーマーケットへ行っても、ビールの売り場が一番大きい。一般の方が飲むお酒も、チューハイなどが増えたと言っても、やはり依然としてビールが一番大きい。お酒を手がける限りはビールを無視できない。国内トップになるためには、お客様に我々のビールを評価していただき、結果としてシェアを上げていかないといけない。
サントリーがビールに参入したのが1963年。今年でちょうど60周年になる。(寿屋から)サントリーという社名に変わったのも同じ年なのだが、その当時から、ビールを大きな柱に育てるぞという強い気持ちがあった。
参入当時は、サントリーの売上高が300億円程度に対し、大手ビール3社の売上高は10倍近くあった。そんな巨大な市場に小さな会社が突撃していった。そこにこそサントリーの「やってみなはれ」精神が表れている。ビール事業が元気だったらサントリーは元気だし、これがなくなると元気でなくなる。ビールは非常に大きな存在だ。
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