キリン「高単価ビール苦戦」で早くも迎えた正念場 初年度目標割れでプレミアム化戦略に黄信号
キリンビールが満を持して発売したクラフトビール「スプリングバレー」が、発売1年余りで正念場を迎えている。
「ビール市場の再成長にクラフトビールは欠かせない」
同社の堀口英樹社長は2022年1月、クラフトビールの果たすべき役割についてこう力説した。しかし、発売初年度となる2021年は販売目標数量を割り込み、2022年上半期(1~6月)の販売数量も前年割れが続いている。
「ビール減税」追い風に販売増える
長らく縮小が続くビール類市場において一人気を吐いているのがビールだ。
キリンビールの場合、2021年の「第三のビール」などの販売数量は前年比11.2%減少した一方、ビールは同4.1%増となった。
背景にあるのは、2020年、2023年、2026年の3回に分けて実施される酒税法改正だ。
2020年10月の改正により、第三のビールなどが増税となった一方、ビールは減税となり、店頭価格が下がった。その結果、第三のビールなどからビールへの移行が進んだとみられる。
2022年もこの傾向が続いており、上半期(1~6月)のキリンの第三のビールの販売数量は前年同期比で6.2%減少。一方、看板ブランドである「一番搾り」などのビールは同2.3%増であり、ビール需要が底堅いことをうかがわせる。
そんな市場の追い風を背に、2021年3月にキリンが発売を始めたのが「スプリングバレー 豊潤<496>」だ。350ミリリットル入りの一番搾りが都内コンビニの実勢価格で217円だったのに対し、「豊潤」は272円と2割以上高い。
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