イオン「新型ネットスーパー」で目指す未踏の高み 物流まで自前投資、収益化には高いハードル

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最後が商品開発。GBではまとめ買いのニーズの高い冷凍食品を2000品目近く扱い、ミールキットなどの開発も行う。倉庫から配送まで一貫したコールドチェーンを構築、独自にフィルムなども開発し、葉物野菜を中心に生鮮食品の「鮮度1週間保証」も実施する計画だ。こうした商品開発の分野まで入り込むことで、事業の収益化を目指す。

5年後には1都3県、将来は関西にも

仮に8000円のまとめ買いが月3~4回行われるとすると、月2.4万~3.2万円の支出となる。そのうち食品が8割とすると、1.9万~2.6万円程度。総務省が公表する2022年の4人世帯が食料品に支出する平均月額(外食を除く)が約6.8万円なので、あくまで単純計算だが、GBは首都圏の食卓の3~4割を狙うことになる。

会見では、ラストワンマイルまで自社で手がけるからこそ実現するサービスであることが強調された(撮影:梅谷秀司)

GBでは、2023年夏から首都圏で段階的にサービスを開始し、1年後をメドに対象エリアを東京23区全域に広げる。そして5年後には1都3県への拡大を図る計画だ。「東京や首都圏でスムーズに事業を行えれば、大阪・近畿地区など似たマーケットに水平展開したい」と吉田イオン社長も野望を隠さない。

1都3県に展開するにはCFCが3拠点、小規模の配送拠点が15~16拠点、そして配送用のトラックが「1000台どころではない」(野澤氏)規模で必要になる。GBはこうした投資を続けながら収益化を実現することが宿命づけられている。

野澤氏は昨年、社員募集の記事で「2030年には売上高6000億円を目指す。これは一般のスーパーなら300~400店の新規出店が必要な数字」と語っている。その野望は実現するか。誰も実現していない大きな挑戦であることは間違いない。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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