イオン「新型ネットスーパー」で目指す未踏の高み 物流まで自前投資、収益化には高いハードル

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新型ネットスーパー「Green Beans」を発表する吉田昭夫イオン社長(右)とバラット・ルパーニ・イオンネクスト社長(撮影:梅谷秀司)

「テクノロジーによって革新的な顧客体験を実現する」

イオンと子会社のイオンネクストは4月4日、ネットスーパーの新サービス「Green Beans(GB)」を今夏から首都圏で段階的に始めると発表した。会見の席上、吉田昭夫イオン社長は冒頭のように語り、新サービスが既存のネットスーパーと一線を画すものであることを強調した。

イオングループはすでにネットスーパーを展開しており、2022年2月期の売上高は750億円超、収益面も黒字化を果たしている。イオンでは今後も既存のネットスーパーを継続する方針。それでもなぜ新サービスを立ち上げるのか。

5万品目超で「まとめ買い」を促進

GBが狙うのが「まとめ買い」だ。品ぞろえは食品から日用雑貨、医薬品まで約5万品目。一般的な総合スーパーの倍に相当する。ワンストップショッピングが可能な品ぞろえで、顧客にまとめ買いを促す。ほかのネットスーパーのように即日配送は行わないが、夜8時までに注文すれば翌日の朝7時から夜11時まで1時間単位で時間指定ができるようにする。

AI(人工知能)を活用した機能も前面に出す。顧客の過去の購入履歴に基づき、おすすめ商品を表示するスマートカート機能を導入。AIによって2秒でおすすめ商品を表示し、顧客はクリック1つで商品をカートに入れることができる。

5万品目という品ぞろえが可能なのは、GBが専用の倉庫から商品を出荷する「倉庫出荷型」であるからだ。イオンのネットスーパーを含め、現在行われているサービスの主流は、リアルの店舗から商品を出荷する「店舗出荷型」。同型では、品ぞろえは基本的に店と同じになり、商品のピックアップも店員が業務の合間を見て手作業で行っている。

他方、倉庫出荷型であれば、品ぞろえは店に限定されず、商品選びも効率化できる。「倉庫」の第一号として、イオンネクストが千葉市緑区誉田町に建設した誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)。延べ床面積は約5.2万㎡、倉庫内ではAIを搭載した1000台もの集荷ロボットが24時間稼働する。客から注文が入ると、ロボットが約6分で50個のスピードで商品を選ぶ。これは「店舗で行う10倍の生産性」(吉田イオン社長)という。

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