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なぜ?「スキーしない客」が集まるスキー場の秘密 「隠れた資産」活用で独自のアイデアを生む技術

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  • 和田 寛 白馬岩岳マウンテンリゾート代表
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このような「海外でやっているもので、日本でやっていないこと」という探し方にかぎらず、「ビーチではやっているけれど、山ではやっていないこと」「プロ野球の集客でやっているけれど、スキー場の集客ではやっていないこと」のような「他業界ではやっているけれど、自分たちの業界ではやっていないこと」を探していくことで、面白いコンテンツを作ることができます。

ですが、このくらいのことは当然、皆さんやっている話。そうそうこれだけで差別化、独自性を追求することは難しくなります。では次のステップとしてどういう考え方があるのでしょうか。

「すでにあるもの」同士を組み合わせて独自性を作る

②要素の掛け算

白馬岩岳でのこれまでの取り組みの中で最も多い考え方は、この「要素の掛け算」です。それぞれは「どこかであるもの」だが、組み合わせをうまく考えれば、まだ誰も手を付けていない独自なものとなる可能性を広げることができる、という考え方です。

白馬岩岳のグリーンシーズンの集客を大きく伸ばすことになった白馬マウンテンハーバーは、まさに以下の掛け算でした(詳細は「日本に『残念すぎる観光地』量産される悲しい事情」参照)。

「絶景が見える崖状の土地」
×「洗練されたデザインの建物」
×「美味しいフード、ドリンク」

また、岩岳山頂で行う音楽フェス「アルペンアウトドアーズ プレゼンツ HAKUBAヤッホー!FESTIVAL」(以下「ヤッホー!フェス」。第2回の様子はこちら)も、この「要素の掛け算」によって生まれたものです。

白馬岩岳には、ゴンドラ山頂駅の目の前に1000平方メートルを超えるフラットな芝生の広場があります。白馬の山を眺めつつ里を見下ろすことのできる絶景空間です。この芝生広場は普段はお客さんがピクニック気分を味わえるよう、多くのテーブル、椅子が置かれています。

2019年には、その芝生の広場の一角、メインレストラン「スカイアーク」の前に、よりゆったりとアウトドアでの食事を楽しんでいただけるよう高さ1メートルほどのデッキ席を作っており、こうしたアウトドア空間のさらなる有効活用策を考えていました。

こうした中で出てきたのが、「『音楽』を掛け算できたら面白くなるのではないか」という発想から生まれたヤッホー!フェスなのです。

「ゴンドラに乗るだけで到着することのできる、絶景の見える芝生広場」
×「ステージとしても使えそうな高さ1メートルくらいのデッキ席」
×「白馬にゆかりのあるアーティストや白馬を好きになってくれたアーティストが中心となって奏でる音楽」

このヤッホー!フェスですが、昨年春に行った第2回には定員を上回る応募がある日が出るなど、この独自性の高いセッティングに対する評価が上がってきています。

今年5月20~28日に開催予定の第3回も、スキマスイッチさんやゴスペラーズさん、クリス・ハートさん、Original Loveの田島貴男さんなど、白馬の空気感にぴったりのアーティストがブッキングされており、チケットセールスも前回を超えるペースで推移しています。

③外部の力のレバレッジ 

「②要素の掛け算」をして独自性の高いコンテンツを作ることは、自分たちにとっては「未知の領域」に手を出していくことと同義になります。

白馬マウンテンハーバーの事例における「美味しいフード、ドリンク」やヤッホー!フェスにおける「音楽」など、私たちスキー場運営を長年生業としてきた事業者にとっては完全に未体験領域です。

そこで活用させていただいたのが「THE CITY BAKERY」やイベントプロデューサーである元キマグレンのISEKIさんといった外部の有力なプレーヤーさんの力です。

この人たちなしではどのコンテンツも成立しなかったと実感しています。その有力な外部プレーヤーをどのようにして活用させていただくことができるのか、次回はその詳細を説明したいと思います。

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