なぜ?「スキーしない客」が集まるスキー場の秘密 「隠れた資産」活用で独自のアイデアを生む技術

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では、この「マウンテンリゾート」としての認知拡大の背景にはどのような要因があったのでしょうか。

いちばん大事な要因は「『隠れた資産』を活用し、独自性の高いコンテンツを生み続けてきたこと」だと感じています。「隠れた資産」とは、「磨けばその会社や地域にとって宝物になるのに、何らかの理由で埋もれたままになっているもの」です。

隠れた資産をどう見つけるのかということについては拙著『スキー場は夏に儲けろ!』の中に詳しく書いています。

では、これを見つけた後、どう活用すると「独自性の高いコンテンツ」となる確率が高まるのでしょうか。今回から2回に分けて、ご説明したいと思います。

「独自性の高いコンテンツ」を作るフレームワーク

さて、せっかく「隠れた資産」をうまく特定できたところで、必ずしもそれがすぐに独自性の高いコンテンツにつながるわけではありません。ゼロベースで「誰も考えもしなかったようなアイデア」をポンポンとひねり出すことのできる人は多くないのが実際です。

そこで隠れた資産を「独自性の高いコンテンツ」に磨き上げるための共通の思考の枠組みとして、私は以下のようなフレームワークを使って考えを進めています。

① 先行事例のベンチマーク
② 要素の掛け算
③ 外部の力のレバレッジ

今回は①と②について、次回の記事で③について解説していきます。

①先行事例のベンチマーク

まずは世界中の類似業界でうまくいっている事例をよく観察し、その成功要因を自分なりに分解して把握するようにしています。

調査方法は視察に行って話を聞いたり、自分が遊んで体験したりという直接的な情報に頼ることもありますし、SNSをフォローしてそこに流れてくる情報を定期的に観察したり、GoogleやYouTube、Pinterestなどの検索エンジンを頼るのでもよいと思います。

そこで面白そうなアイデアを見つけたら、まずは「そのままあてはめることで、ある範囲で特異的なものになるか」の検討をします。海外でやっているけれど、日本では誰もやっていないから「日本初」と言えるという場合は、そのままコンテンツ化するケースも多いです。

白馬岩岳での例で言えば、2021年夏からスタートさせたマウンテンカートがこれにあたります。

マウンテンカートとは、エンジンのついていないカートで下り斜面のコースを駆け下りるアクティビティです。Googleで世界中の山でやっているアクティビティを探していたところたまたま見つけたのが、ヨーロッパのいくつかのスキー場で導入が進んでいたドイツ発祥のマウンテンカートでした。

事業性やメディア受けなどを簡単にチーム内で検証し、これだと決めたら、直接ドイツの会社にEメールで連絡しました。多少コミュニケーションに苦労しながらも、半年弱で営業開始に漕ぎつけました。

ここからは「国内初」のキャッチフレーズを多用。するとテレビの取材がたくさん入るようになり、ニュースやバラエティ番組で全国に放映されました。SNSや動画サイトで取り上げていただけることも多く、順調なスタートを切ることができました。

開業直後から休日は満員御礼が続き、なかなか希望するお客さん全員には楽しんでいただけない状況が続きました。そのため、当初は6台でスタートしたサービスも今や30台近くまで増やし、新コースもオープンして、さらに多くのお客さんにお楽しみいただけるようになっています。

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