アメリカ政府が資金ショートになって同国債がデフォルト(債務不履行)するというのは、ほとんどの人にとっては「悪い冗談」であろう。世界で最も安全で、強力な軍事力にも守られているはずの金融資産が、突如として紙くずになるかもしれないのだから、これはもう悪夢そのもの。それでも連邦議会においては、発作的にチキンゲームが暴走することがある。
多くの人にとって忘却の彼方かもしれないが、ひと回り前の卯年である2011年8月には、この騒ぎによってS&P社が史上初めて同国債をAAAから格下げするという椿事(ちんじ)が起きている。そして今年はいろんな意味で、12年前とよく似ているのである。
まさかの「アメリカ国債危機」になる?
ちなみに12年前、格下げされた同国債はどうなったかというと、普通だったら売られそうなところだが、実際には買われてドル金利は低下した。つまり市場は「ここは絶好の買い場」だと判断したのである。
結果としてドル安円高が進み、当時の1ドル=75円台は今でもドル円の史上最高値となっている。もっとも2023年の場合がどうなるかは、そのときになってみなければわからないのだが。
債務上限問題はいつももめるわけではない。前回の2021年時には、あっさりと大幅な引き上げが決まっている。当時は上下両院で民主党が多数を握っていたし、パンデミックに対する緊張感はまだまだ強かったのだ。
ところが2023年は、共和党内の足並みが乱れているうえに、銀行の経営破綻の問題があり、今週はドナルド・トランプ前大統領の起訴などという事態も発生した。あまり考えたくないことではあるが、これでホントに債務上限問題が重なったら、今回の問題には「アメリカ国債危機」というネーミング(戒名)がピッタリということになるのかもしれない。
(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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