HBSでは優れた戦略をたった1つの図で考える ケース問題「従業員のES向上で売上を伸ばせ」
急速な技術革新、グローバル競争、進化し続ける消費者のニーズに対応するために、優秀な人材がさまざまな戦略を打ち立て、問題解決に取り組んでいます。ところが、それらの戦略を実行し、激務をこなしているにもかかわらず、多くの企業で、高い収益性を実現できず、従業員に手厚い報酬が提供されていません。なぜ、努力が報われないのでしょうか。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の戦略コースでは、「優れた戦略はシンプルである」という考えに基づいて、バリュースティックという図を使って議論しています。同コースの対話から生まれた話題の戦略書の日本語版『「価値」こそがすべて! 』を翻訳出版した神戸大学大学院の原田勉教授に、圧倒的なパフォーマンスを引き出す「バリューベース戦略」のエッセンスについて語ってもらった。
氾濫する戦略
「戦略」という言葉はいまやいたるところで氾濫しています。「〇〇戦略」「戦略的〇〇」という言葉が存在しない企業はないと言っても過言ではないでしょう。
その結果、戦略の機能不全が生じているケースが少なくありません。
同じ企業のなかで、あるチームはブランド競争力を高めるためにマーケティングコストを上乗せし、別のチームはコスト競争力を高めるために製品の品質を落とすといった類のことが生じています。
このような戦略の機能不全が生じるのも、私たちが戦略に対する明確な定義をもっておらず、長期的で本質的な「計画」を漠然と戦略としてとらえてしまっていることに起因するのではないでしょうか。
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