本当にChatGPTはリサーチャーの仕事を奪うのか AI時代に人間が鍛えるべきリサーチのスキル

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まず、「探す」リサーチとは、その名の通り、世の中にある情報の中からお目当ての情報を探し当てるタイプのリサーチです。Web検索や、文献検索、公的調査統計の活用などが該当します。

一方、「作る」リサーチとは、世の中にない情報を調査を通じて得る、あるいは既存の情報を組み合わせて新しい知見に進化させるようなリサーチを指します。アンケート調査やインタビュー調査、フィールド調査など、事前に設計し、ある程度時間をかけて深い気づきを得るために行うリサーチです。

それでは、AIの普及で人間のやることはどう変わるのでしょうか。

それぞれのリサーチについて考えてみましょう。

「探す」リサーチで人間に勝ち目はあるか

「探す」リサーチの領域では、AIのパフォーマンスは圧倒的です。これまでも、ビジネス上の意思決定にそのまま使うことはないにしても、日常のちょっとした調べものであれば、Web検索して出てきたWikipediaなどで済ませていた方は多いと思います。権威ある百科事典を開かずとも、いろいろな調べものが片付く便利な時代です。しかし、ジェネレーティブAIを使うと、口語文で質問するだけで意図が汲まれ、一定の精度の回答が得られるようになりました。いろいろなキーワードで検索してお目当てのページを探し当てる手間すら不要になり、革命的と言えます。

では、「探す」リサーチではもはや人間の出る幕はないのでしょうか? 

まず、現在の精度では、AIが回答の参考とする学習データが誤っていたり偏っていたりすることで、的外れな回答をすることがあるため、人間の目で真贋を見極める、情報の取捨選択をする、といった介入が必要です。

さらに、意思決定を促す個別具体的ファクトをつかむ場面では、AIはまだ力不足だといえるでしょう。特に、ジェネレーティブAIは大量の情報をインプットし、それを確率的に処理するアルゴリズムであるため、一般的、常識的な情報を提示することは得意ですが、その特性上、中立的で無難な情報しか提示しません。学習データが正しければ大きく外すことはありませんが、個別具体的ファクトをピンポイントでつかむ、という作業には不向きなのです。

えてして、人の心を動かすのは一般論ではなく個別具体的、特徴的なファクトです。こういった心を動かすファクトを見つけ出し、選び取るためには、経験の蓄積による特徴的な言葉や情報への嗅覚や、必ずどこかに求めるファクトがあるはずだという執着心が不可欠なため、このあたりにはまだ人間に分があると言えそうです。

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