【近視】スマホを見てばかりの人を襲う怖い事態 これ以上目を悪くしたくないなら見方を変えよう

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実際、政策として外気浴を推進する地域が出てきています。台湾の学校では、子どもたちに照度計をつけて、外遊びの時間を測って近視を防ごうとしています。オーストラリアでは「外でのランチ」を国レベルで推奨。シンガポールは「週末の公園遊び」に対しておもちゃ券を配っています。このように、近視対策として外遊びや外気浴を推奨するところが増加中で、実際に近視抑制の顕著な結果が出ています。

ブルーライトを多く浴びるようになったからこそ

「外で過ごす時間を捻出しなければ」と堅苦しくとらえなくてOK。屋外にいるだけで、バイオレットライトは目に飛び込んできます。通勤・通学で外を歩く時間を増やしたり、庭やベランダで過ごす時間を多くしたり、外食のときは日の当たるテラス席を選んだり。また、曇天でも夕方でも、バイオレットライトはふんだんに降り注いでいます。

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1日30分でもよいので屋外で過ごすこと。室内の窓ガラスはバイオレットライトをカットしてしまうので、外に出ましょう。理想は、眼鏡やコンタクトレンズも外すこと。それらの素材もたいてい、バイオレットライトを遮断する仕様です。

現代人は、人工的なブルーライトを多く浴びるようになりました。それに反比例するように、バイオレットライトを浴びる量は激減。だからこそ、近視が増えている現状があります。ぜひ今日から、外に出る時間を増やし、日光の恩恵を受けてほしいと思います。それこそが、スクリーンと共存する目守り術です。

綾木 雅彦 慶應義塾大学医学部眼科学教室特任准教授、おおたけ眼科院長

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あやき まさひこ / Masahiko Ayaki

1982年、慶應義塾大学医学部卒業。1994~1997年、ハーバード大学に留学(医学部研究フェロー)。昭和大学医学部眼科准教授、国立病院機構埼玉病院眼科医長、国際医療福祉大学三田病院眼科准教授などを歴任。慶應義塾大学眼科学教室の研究者として世界最先端の知見を深めながら、「患者さん第一主義」を貫き、地域に高度な医療を提供。後進の指導にあたるほか、日本抗加齢医学会評議員などの要職も数多く務める。
「ブルーライト研究の第一人者」としても知られ、とくに子ども世代の視力を守る啓蒙活動に力を入れている。最近は老眼とドライアイについての論文も多数執筆している。

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