「買わずにいられない」精神状態に導く催眠商法 あの手この手で高齢者の「心」を奪い去る

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販売員には約26万円の基本給に加え、販売成績に応じた臨時ボーナスが支給される。金払いのよい客を囲ったり、見込み客の取り合いをしたりと社員間の競争は激しかったという。客側は、毎日話をするうちに情が湧き、特定の販売員を応援する気持ちが芽生える。

消費生活センターに寄せられた相談では高齢者が借金を負うなど、支払い困難になるまで追い詰める例もある。だが、家族の心配をよそに、本人には被害に遭ったという自覚が乏しいケースが目立つ。男性は「販売員はあの手この手で客の心をつかみ、最終的に『買わずにはいられない』という精神状態に持ち込む。納得して買っているから、だまされたとは感じ切れない」と話す。

予防策は趣味を持つこと

催眠商法の予防策は、趣味を持つことだと男性は強調する。「熱中できる対象がないから、販売会場が生きがいになってしまう」。男性は催眠商法の被害撲滅を訴え、2018年に『あやしい催眠商法 だましの全手口』を出版。手口を理解することが対策になると指摘する。

高齢者の心を操るその手法は、“詐欺”とも思わせないという意味で、被害を認知しやすい特殊詐欺以上に巧みだ。

井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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